前回記載した『7. タームローン方式とリボルビング方式』でも触れましたが、 シンジケートローンは、債権譲渡等が可能な契約書になっていること、取引銀行以外も参加していることから、 銀行取引約定書を前提とした片務契約の金銭消費貸借契約書ではなく、双務契約のタームローンが使われることが多く、 借入人の義務として貸付を行う前までに、「貸付実行の前提条件(Conditions Precedent:CP充足条件)」を満たしている必要があります。
ここで、貸付事項の前提条件として以下のようなものが用いられます。
- 貸付不能事由の不存在
- 表明保障違反の不存在
- 借入人の義務違反の不存在
- 書類の提出
タームローン方式の場合は、通常1回で終了しますが、リボルビング方式の契約の場合、 ファシリティ・フィーやコミットメント・フィーとの関係で、契約の発効条件を規定する必要が生じます。
貸付を実行する前には、「貸付実行の前提条件」が充足されている必要がありますが、 『5. 多数貸付人とは』や 『6. エージェント口座方式とシンジケート口座方式』でも記載したように、 充足されているか否かを判断する場合は、主に多数貸付人、口座方式の2つの観点から分類されます。
- 全貸付人が個別判断するケース
- 多数貸付人の意思決定に委ねるケース
- エージェント口座方式のケース
エージェント口座に各貸付人が実行する前、又は、エージェント口座からシンジケート口座に実行される前 において、貸付実行の前提条件が充足しているかを判断します - シンジケート口座方式のケース
各貸付人のシンジケート口座への入金の前において、貸付実行の前提条件が充足されているかを判断します

