金利スワップを評価する際には、主に3つ方法で評価を行うことになります。
うち2つは通常の金利スワップにおける評価方法で、もう1つは条件が複雑な場合に利用する評価方法です。
金利スワップは変動か金利と固定金利の交換取引ですが、条件が複雑かどうかという点については、
その他の条件が付加されていないどうかという点で判断することになります。
@変動利付債による評価方法
金利スワップを評価する際の最も基本的な考え方は、変動利付債によるものです。変動利付債とは、受取金利がLIBORやTIBORなどの変動金利の債券です。
A変動金利を作成する評価方法
ここでは、金利スワップを評価するもう一つの方法について説明します。
今度は、先ほどとは逆で、A社がB銀行と金利スワップ契約を締結して、3年間2%の固定金利を受け取る代わりに、LIBORを支払うというものです。
Bその他の評価方法
先ほどまで説明してきた金利スワップは、単純な変動金利と固定金利の交換取引でしたが、実際には、複雑な条件が入ってくる契約も存在します。
例えば、以下のような条件が契約に存在している場合は、通常と同じような評価を行うことができなくなります。
@変動利付債による考え方
金利スワップを評価する際の最も基本的な考え方は、変動利付債によるものです。変動利付債とは、受取金利がLIBORやTIBORなどの変動金利の債券です。
まず、下図のような金利支払が発生する変動利付債(会社の信用力はLIBORと同じ)を購入する場合を考えます。
【変動利付債の内容】
| 元本 | 100百万円 |
| 期間 | 3年間 |
| 金利 | LIBOR |
| 金利受取 | 6ヶ月ごと |



額面100の債権は、スタート時点の100のキャッシュ・アウトと、LIBORと元本100の受取が等しくなりますので、
価値がゼロとなるキャッシュ・フローを作成することができます。
金利スワップの条件が、下記のようになっていたとします。
【金利スワップの契約内容】
| 評価日 | 2009/9/30 |
| 想定元本 | 100百万円 |
| 通貨 | 日本円 |
| 開始日 | 2009/10/1 |
| 満期日 | 2012/9/30 |
| 受渡サイクル | 6ヶ月 |
【受取サイド】
| 固定・変動 | 変動金利 |
| 基準金利 | LIBOR |
| 金利・スプレッド | 0.00% |
【支払サイド】
| 固定・変動 | 固定金利 |
| 基準金利 | - |
| 金利・スプレッド | 1.00% |

これに先ほどの変動利付債を考慮して評価をしようとすると、受取金利であるLIBORを相殺する方向で変動利付債を使用します。
金利スワップに変動利付債のキャッシュ・フローを反対に発生させると、合成後のキャッシュ・フローが作成できます。


合成後は変動金利が全く無いキャッシュ・フローとなりますので、発生する金利をそのまま割引計算すれば算定できることになります。
支払金利が年率1%(支払)で、スタート時点で100のキャッシュ・イン、3年後に100のキャッシュ・アウトが発生すると仮定すると、
3年間の割引率が0.7%の場合は、下図のように計算されることになります。

A変動金利を作成する方法
今度は、先ほどとは逆で、A社がB銀行と金利スワップ契約を締結して、3年間2%の固定金利を受け取る代わりに、LIBORを支払うというものです。
【B銀行との金利スワップの条件】
| 評価日 | 2008年3月31日 |
| 想定元本 | 100百万円 |
| 通貨 | 日本円 |
| 開始日 | 2008年4月1日 |
| 満期日 | 2010年3月31日 |
| 受渡サイクル | 6ヶ月 |
受取サイド
| 固定・変動 | 固定金利 |
| 金利 | 2.00% |
支払サイド
| 固定・変動 | 変動金利 |
| 基準金利 | LIBOR |

■直接LIBORを計算する方法
この方法では、将来発生するであろうフォワード金利(Implied Forward Rate)を用いて、将来の利息支払額を算出し、受取利息との差額を計算することによって、
将来キャッシュ・フローを作成することが必要となります。
フォワード金利(Implied Forward Rate)の算出のための計算式を単純化して説明します。
@まず、ディスカウント・ファクターをブート・ストラップ法で計算します。

Aその後、ディスカウント・ファクターを利用して、フォワード金利を計算します。

仮に、下図のようなDFである場合、IFRと支払金利を計算すると以下のようになります。

これに対して、受取利息は固定(年率2.0%)となりますので、将来発生するキャッシュ・フローは以下の通りとなります。

将来発生するキャッシュ・フローは現在価値に割り戻す必要がありますので、受取金利(キャッシュ・イン)と支払金利(キャッシュ・アウト)
の差額(ネット・キャッシュ・フロー)の現在価値を算出することによって、金利スワップの評価額を算出します。

Bその他の評価方法
複雑な条件が入ってくる契約の場合モンテカルロ・シミュレーションなどを用いて評価することが一般的です。
モンテカルロ・シミュレーションは、将来の金利変動をボラティリティを利用して評価します。
金利決済条件が先ほどと同じ単純な金利スワップを例にして、モンテカルロ・シミュレーションでどのように評価を行うかについて説明します。
【B銀行との金利スワップの条件】
| 評価日 | 2008年3月31日 |
| 想定元本 | 100百万円 |
| 通貨 | 日本円 |
| 開始日 | 2008年4月1日 |
| 満期日 | 2013年3月31日 |
| 受渡サイクル | 1ヶ月 |
受取サイド
| 固定・変動 | 固定金利 |
| 金利 | 0.70% |
支払サイド
| 固定・変動 | 変動金利 |
| 基準金利 | LIBOR |

この金利を利用して、決済時点において発生するキャッシュ・フローを図示したものが、下図となります。

モンテカルロ・シミュレーションにおける評価額(PV)は、各試行によって得られたキャッシュ・フローの割引現在価値の期待値(平均値)となりますので、
下記のように算定されることになります。

上記のようにして、モンテカルロ・シミュレーションで金利スワップを算定しましたが、実際には、
変動利付債を使用して計算した時価評価額やフォワード・レートを利用して計算した時価評価額と等しくなります。
理由は、モンテカルロ・シミュレーションにおいては、「金利=前回の金利×ドリフト+乱数による変動」として記載しましたが、
乱数による変動の平均値はゼロとなりますので、ドリフトのみによって、平均的な為替レートが計算されることになります。
本件におけるドリフトは、イールドカーブの傾きを意味しますので、モンテカルロ・シミュレーションによって作成したイールドカーブの平均値は、
イールドカーブに等しくなることになります。
このような理由から、通常の金利スワップを計算する場合には、変動利付債を使用して計算した時価評価額や
フォワード・レートを利用して計算した時価評価額と等しくなるのです。




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