決済額と評価額の違い
為替デリバティブの決済額は、決済レートの計算日に決定しますが、為替デリバティブの評価額と実際の決済額は、何の関係もないというのが特徴です。
詳しくは、別ページで紹介していますので、こちらをご覧ください。「時価評価と決済額の違い」
例えば、1ドルを90円で購入する通貨スワップは、為替レートの決定日に1ドルの価値と90円を比較して決済額を決定します。
決済額は、差金決済(円建の差額のみを受取ったり、支払ったりする決済方法)と、総額でそれぞれ支払いを行う方法の2種類がありますが、 実際は受取った米ドルの価値を円環算して損益を把握するため、決済方法が違っても、「損した金額」「得した金額」に違いはありません。
米ドル買い・日本円売りの通貨スワップの評価額は、評価する時点の為替レート(スポット・レート:その時のレート)と日米金利差から作成していきます。
これは、別のページでも触れていますが、
米ドルの金利:5%
日本円の金利:1%
とした場合、1年後に今と同じ為替レートで決済する場合、米ドルを売る方が得します。
1年間5%(米ドル)の金利を受取って、今と同じ為替レートで買い取ってもらえるとすると、リスクを取らずに利益が確定することになります。
基本的に、デリバティブの世界では、このような都合のよい取引(リスクなしに利益だけ確定する:裁定取引)というものは許されないと考えます。
このような性格を有しているため、米ドルを1年間運用して得られる5%というものは、控除して為替予約を行う必要があります。
※厳密には、日本円の金利1%も加味して、為替予約を行います。
たとえば、1ドル=90円だったとすると、1年後の米ドル金利5%と日本円金利1%による影響を等しいとして評価することになります。
1ドルの1年後の価値=1ドル×1.05=1.05ドル
90円の1年後の価値=90円×1.01=90.9円
この二つが等しいとすると、1年間のフォワードレート(為替予約レート)は、
フォワードレート=90.9円÷1.05=86.6円/米ドル
となります。
日本円と米ドルの金利を比較すると、米ドルの金利の方が高いため、フォワードレート(為替予約レート)は、 今の為替レート(スポットレート)よりも低く(円高)になります。
為替デリバティブの評価の前提
為替デリバティブは、為替スポット・レート(その時のレート)と金利差によって算定します。
先ほど、フォワードレート(為替予約レート)と記載しましたが、為替デリバティブはフォワードレートを使用して計算します。
日本円と米ドルの金利を比較すると、米ドルの金利の方が高いため、フォワードレート(為替予約レート)は、 今の為替レート(スポットレート)よりも低く(円高)になります。
2011年12月末時点で、フォワード・レートを作成すると下記のようになります。
為替フォワードレート(日本円と米ドル)

このグラフからも分かるように、年数が長くなればなるほど、金利差による影響が増加して、ますます為替レートは低く(円高)なっていきます。
すなわち、為替デリバティブは、全て為替レートが低く(円高)なっていくことを前提に評価をしていきます。
先ほど、決済額と評価額は何の関係も無いと書きました。
2011年12月末時点では、為替スポット・レートは1ドル=77円でしたので、
1ドル=70円で為替予約をした場合、為替レートは70円を下回らないかもしれません。
ただし、フォワードレートは、10年くらいで70円を下回っていき、25年くらいで60円を下回ります。
為替デリバティブの考え方としては、デリバティブの期間において、1ドル=70円になっても、ならなくても特に構いません。
2011年12月時点を基準にすると、10年の日本円と米ドルの為替予約は70円/米ドルなので、 70円/米ドルよりも高い為替予約レートで契約が締結できると利益が出ます。
デリバティブは、相手先と締結したデリバティブ取引を、ニュートラルにするために、別の先と逆の契約を締結してヘッジします。
下記のように、A社とデリバティブ取引を締結したB社は、デリバティブのリスクをヘッジするために、C銀行とデリバティブ契約を締結します。

2011年12月時点を基準にすると、B銀行はA社と10年間の為替予約を71円/米ドルで締結して、 C銀行と70円/米ドルで契約を締結できると1円/米ドルの利益となります。
株式会社yenbridge(エンブリッジ)では、為替デリバティブの評価を実施しております。
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