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大規模修繕と耐震工事

入力者 山下章太 更新日 20180925


大規模修繕と耐震工事

不動産を維持管理していくには、大規模修繕と呼ばれる建物のメンテナンスが必要になります。
また、旧耐震物件の場合は、耐震改修工事を実施するかどうかという点も検討する必要があります。
今回は大規模修繕と耐震工事について考えてみます。



1.大規模修繕とは

不動産は、経年による建物の劣化により修繕が必要となります。
定期的な修繕は毎年必要ですが、大規模な改修を実施しなければならないケースがあり、 そのような大規模な修繕を「大規模修繕」といいます。

表1のような工事が該当しますが、内容に応じて10年〜30年サイクルで実施する必要があります。

【表1:大規模修繕の内容とサイクル】
内容 周期(目安) 外観への影響
防水工事 10年〜15年
外壁工事 7年〜10年
空調設備工事 15年
幹線設備工事 25年
給水・排水設備工事 15年
ガス設備工事 30年
昇降機設備工事(エレベーター) 30年

建物を維持管理することは重要ですが、見た目で分かるような工事は限られ、 大規模修繕を行ったことによって、ビル自体のグレードに影響することはほとんどありません。
大規模修繕を実施したからといって、賃料増加を期待することはできません。



2.旧耐震物件

1981年(昭和56年)6月1日に建築基準法施行令が改正され、耐震基準が定められましたが、 旧耐震物件とは、 1981年(昭和56年) 5月31日以前に建築された物件を総称していいます。

旧耐震物件は、そもそも築年数が古く銀行融資の対象となりにくいことに加えて、耐震補強を行っていなければ、 銀行借入の担保として見做されないことから、買い手が全額現金で決済できる先に限定されます。
物件の処分を前提にすると流動性が低い物件であると言えます。

逆の観点からは、買い手が限定されるため、比較的割安に購入することができ、 賃借人が払う賃料は旧耐震物件であっても、金額に差はないことから、取得価額が低い分、投資利回りは上がります。

地震災害に備えるために耐震改修工事を行うケースもあると思いますが、耐震改修工事を実施しても、 ビルの外観も変わらないため、賃料増加を期待することはできません。



3.大規模修繕と旧耐震物件

大規模修繕と旧耐震物件は、担保価値や流動性(売却のしやすさ)は、ともに向上が見込まれますが、 実施しても外観にはほとんど影響はなく、賃料の増加を見込めないという点で共通しています。

一般的な分譲マンションなどは、管理組合が修繕積立金を毎月徴収して、将来の大規模修繕に備えます。
修繕積立金は、規模や構造によりますが、延床面積あたりの大規模修繕が10,000円/uとすると、 共用部分も含めたマンション4,000uの大規模修繕は4,000万円必要になります。

耐震改修工事を行う場合についても、規模や構造によりますが、耐震診断が800円/u〜2,000 円/u、 耐震改修工事が15,000円/u〜50,000円/u必要になります。

大規模修繕の方が建物躯体などの工事を行わないため、耐震改修工事に比べると安く済む傾向にあります。
おおまかに比較すると表2のようになります。

【表2:旧耐震物件と新耐震物件の比較】
内容 旧耐震物件 新耐震物件
耐震診断 1,000円/u
耐震改修工事 30,000円/u
大規模修繕 10,000円/u 10,000円/u
合計 41,000円/u 10,000円/u

新築への建替えをどのタイミングで実施するかによりますが、耐震改修工事を実施しても賃料を引き上げる効果はなく、 単純に利回りが低下するのみです。

また、旧耐震物件は、築33年以上経過していることから、50年くらいで建替えを検討できるのであれば、 今のタイミングで実施する必要性は乏しいとも言えます。




上記コラムは、週刊ビル経営(2014年11月10日号)に掲載されたものです。
掲載当時の法律、会計基準、税制を基に記載をしておりますので、現時点の内容と異なる場合があります。
詳細は、下記をご覧下さい。

月一連載:プロオーナーになるための財務基礎知識

週刊ビル経営:2014年11月10日号

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