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グローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)

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2010年改訂

項目

2. カーブアウトに関する事項

入力者 山下章太 更新日 20081220

2010年改訂においては、カーブアウトに関して新たな取り扱いが設定される予定になっています。

初めて「カーブアウト」という用語に触れた方のために少しカーブアウトについて解説をしますと、 カーブアウトとは、例えば、2資産バランス運用(国内株式・国内債券)のポートフォリオの 国内株式部分のみを切り出して、コンポジットのパフォーマンスに含めるという手法です。

すなわち、カーブアウトは、あるポートフォリオ(顧客の口座)の投資資産を一部を切り出して、 別のポートフォリオのように扱います。
カーブアウト元(国内株式・国内債券)の一部をカーブアウト先(国内株式)のパフォーマンスに移す訳ですが、 カーブアウトは、カーブアウト元から国内株式を除外する訳ではなく(Cut and Paste)、カーブアウト元ポートフォリオとは別に、 『新しくカーブアウト先(国内株式)のポートフォリオを作成 (Copy and Paste)』することになります。
このため、コンポジットには、カーブアウト元のポートフォリオ(国内株式・国内債券)と カーブアウト先のポートフォリオ(国内株式)がダブルカウントされることになりますので、 会社が運用するコンポジットの資産残高を全て合計しても会社の運用総資産額にはなりません。
これは、カーブアウトが含まれているためです。

カーブアウトについて議論された事項

カーブアウトについては、GIPS Exective Committeeにおいて、下記のような事項が議論されていました。

  • コンポジットにカーブアウトを含めるか?
  • 現金を含まないカーブアウトリターンを許可するか?
  • 現金ゼロで運用されるカーブアウトを作成できるか?

この点、2008年9月にボストンで開催されたGIPSカンファレンスにおいては、 コンポジットにカーブアウトは含める方向で、公開草案が提出されることとなっています。

また、現金ゼロで運用されるカーブアウトは、コンポジットに含むことができないと表明していますので、 2010年改訂の公開草案では、現金ゼロのカーブアウトは認められないものとして公表される予定となっています。

なお、上記の記載内容については、2010年改訂が意見公募後に最終決定されますので、 最終的な決定事項では無い点にご留意下さい。

カーブアウトに適用される主要なGIPS 基準

  • 3.A.7 現金を含まないカーブアウトは、投資一任ポートフォリオとしての使用およびコンポジット への組入れを行うことはできない。多資産ポートフォリオから単一資産をカーブアウトしそ のリターンを単一資産コンポジットに含めて提示する場合には、カーブアウト・リターンに は、適時に一貫性のある方法で現金が配分されていなければならない。2010 年1 月1 日以 降の運用実績については、カーブアウトが実際にキャッシュバランスを有して個別管理され ていない限り、カーブアウト・リターンを単一資産コンポジットのリターンに含めることは できない。
  • 3.B.1 カーブアウト・リターンは、当該カーブアウトが実際にキャッシュバランスを有して個別管 理されていない限り、単一資産コンポジットのリターンに含めるべきではない。
  • 4.A.11 2010 年1 月1 日より以前の運用実績については、多資産ポートフォリオから単一資産をカ ーブアウトし、そのリターンを単一資産コンポジットに含めて提示するときは、会社はカー ブアウト・リターンに対する現金配分方針を開示しなければならない。
  • 5.A.5 2006 年1 月1 日以降の運用実績については、多資産ポートフォリオからの単一資産カーブ アウトをコンポジットに組み入れるか、もしくは当該カーブアウトを使用してコンポジット を構築するときは、各期の当該コンポジット資産に占めるカーブアウトの割合を提示しなけ ればならない。

GIPS基準については、下記リンクからダウンロード下さい。
グローバル投資パフォーマンス基準(日本語版)


参考:カーブアウトの取扱いに関するガイダンス・ステートメント(改訂版)

改訂発効日: 2006 年1 月1 日
採択日: 2004 年3 月4日
発効日: 2004 年6 月1 日
遡及適用: 必須ではない
公開コメント期間:2002 年8 月〜11 月

序 論

カーブアウトは、多資産ポートフォリオのうちの単一または複数資産クラスからなるセグメントと して定義され、より広いマンデートで運用されるポートフォリオから、より狭いマンデートによるト ラックレコードを構築するために使用される。 例えば、欧州・太平洋地域の株式ポートフォリオに おけるアジア株式部分やバランス型ポートフォリオにおける株式部分は、カーブアウトと考えること ができる。カーブアウトは、通常、資産クラス、地域、業種セクター等に基づいて定義される。

固有の問題

カーブアウトには、関連する固有の問題がいくつかある。カーブアウトはより広範で分散度の高い 戦略の一部分を代表しているにすぎないため、カーブアウト・リターンは、そのカーブアウトの戦略 に特化したポートフォリオで達成されたであろう運用成果としての代表性を有している場合に限り、 有効なトラックレコードとなる。カーブアウトの使用は、会社が特定の戦略に特化したポートフォリ オの運用経験を有しているという印象を与えるものであり、実際にはそのような経験がない場合にも 同様の印象を与える恐れがある。例えば、グローバル株式ポートフォリオからの英国株カーブアウト が2種類の英国株しか保有していない場合は、分散投資された英国株のみのポートフォリオを代表す るものとはいえない。

もう一つの問題は、現金が分別管理されておらず、カーブアウトされたセグメントに現金を配分し なければならない場合に生じる。カーブアウトが現金を有して個別管理されていない場合には、リタ ーンの計算が不正確になる恐れがある。GIPS 基準では、ポートフォリオ内で保有されている現金お よび現金同等物からのリターンをトータル・リターンに含めることを必須としている。カーブアウト が個別ポートフォリオとして管理されていない限り、リターンに関連した現金は存在しないことにな る。2010 年1 月1日より前の運用実績については、 一貫した客観的な方法を使用して現金部分を各 カーブアウトのリターンに適時に配分しなければならない。

2010 年1 月1日以降、会社がアセット・クラスやセクター、業種、規模(例えば大型株等)、スタ イル類型(例えばバリュー型等)によってカーブアウトを構築しようとする場合は、各カーブアウト・ セグメントについてそれぞれ現金残高を保有するか、もしくは、関連した現金ポジションとともに個 別に管理しなければならないと規定している。

トータル・リターンに常に現金を含めるのは、公正な表示という原則によるものである。すなわち、 現金をまったく含まないポートフォリオを組み入れたコンポジットは、現金配分・管理を暗黙の前提 として会社と投資一任契約を結ぶ典型的な顧客にとって、代表性を有するものとはいえない。現金を 伴わないリターンを提示することは、現金を含んだ個別ポートフォリオの運用状況を公正に代表する ものとはいえないため、ミスリーディングなものとなろう。

基本原則

会社は、公正な表示と完全な開示というGIPS 基準の基本原則を銘記し、ミスリーディングな情報 を提示することは回避しなければならない。トラックレコードとして使用するカーブアウトは、当該 戦略に基づいて運用される実際に分離されたポートフォリオとしての代表性を有するものでなくて はならない。すなわち、カーブアウト・セグメントは、当該戦略に特化した投資一任ポートフォリオ と実質的に同様に構築され、十分に類似したリスク特性を有していなければならない。例えば、バラ ンス型ポートフォリオの株式セグメントは、株式セグメントで負担する追加的なリスクが債券セグメ ントで負担するより低いリスクで相殺される可能性があるため、個別に運用される株式ポートフォリオ とは異なったものになるかもしれない。会社がカーブアウト・セグメントを構築する場合には、そのカー ブアウトが当該戦略に特化した個別ポートフォリオを代表するものであるかどうかを判断しなければならない。 会社は、カーブアウトの構築、使用および計算に関する方針を確立し、一貫して適用しなければな らない。現金によって得られるリターンの計算および配分方法は、会社が決定し、文書化して、一貫 して適用すべきである。

GIPS 基準では、「2010 年1 月1 日以降の運用実績については、カーブアウトが実際にキャッシ ュバランスを有して個別管理されていない限り、カーブアウト・リターンを単一資産コンポジットの リターンに含めることはできない」と規定している。したがって、 2010 年1 月1 日より前の運用実 績と当該規定の発効日である2010 年1 月1日以降の運用実績について、それぞれ許容される内容を 明確にすることが必要である。

運用会社がカーブアウトの構築を検討する場合には、次の基本原則を満たさなければならない。

2010 年1 月1 日より前の取扱い

  • カーブアウトは個別管理すべきである(すなわち、当該セグメントは、より大きなポートフォ リオの一部分としてではなく、個別のポートフォリオとみなして管理すべきである)。
  • カーブアウトは、同様の戦略によって運用される単独のポートフォリオを代表するものでなけ ればならない。
  • 会社が特定の戦略に基づくカーブアウトを構築する場合には、当該戦略に基づいて運用される 同様のポートフォリオ・セグメントはすべてカーブアウトしてコンポジットに含めなければな らない(例えば、バランス型ポートフォリオの株式部分をカーブアウトして株式コンポジット に含める場合には、本ガイダンス・ステートメントに定める条件を満たす限り、当該会社のポ ートフォリオにおける同様の株式セグメントはすべてカーブアウトして株式コンポジットに 含めなければならない)。
  • 会社がポートフォリオの一部分をカーブアウトすることを選択した場合、ポートフォリオのそ の他の部分もカーブアウトすることを強制されるわけではない。
  • カーブアウトを含むコンポジットのパフォーマンスをフィー(運用報酬)控除後で提示する場 合には、カーブアウト・リターンからフィーを控除しなければならない。その際のフィーは、 カーブアウトを含むコンポジットのフィー一覧表(報酬率表)を勘案して、カーブアウトされ た資産クラスの個別ポートフォリオに課されるフィーを代表する水準としなければならない。
  • カーブアウトは、それぞれの現金を有して個別に管理すべきである。セグメントに固有の現金 がない場合には、一貫した方法によって各セグメントに現金配分を行わなければならない。許 容される方法には次のものが含まれる。
    1. 期首に配分する方法: ポートフォリオの各セグメントに配分すべき現金比率を期首に 特定する方法。例えば、1月の初めに月末時点においてカーブアウトに配分すべき残存 現金の比率を特定する。
    2. 戦略的資産配分: 目標となる戦略的資産配分に直接的に配分を割り当てる方法。例え ば、ポートフォリオの目標資産配分が株式40%、債券60%である場合、現金配分は実 際に投資した額に関連して決まる。ポートフォリオにおける株式の目標配分が40%で ある場合、期首に35%しか保有していなければ、現金のリターンはその差(5%)を構 成することになる。

会社は、使用する方法を決定し、文書化して、一貫して適用しなければならない。

2010 年1 月1 日以降の取扱い

  • カーブアウトは個別管理しなければならない(すなわち、当該セグメントは、より大きなポー トフォリオの一部分としてではなく、個別のポートフォリオとみなして管理しなければならな い)。
  • カーブアウトは、同様の戦略によって運用される単独のポートフォリオを代表するものでなけ ればならない。
  • 会社が特定の戦略に基づくカーブアウトを構築する場合には、当該戦略に基づいて運用される 同様のポートフォリオ・セグメントはすべてカーブアウトしてコンポジットに含めなければな らない(例えば、バランス型ポートフォリオの株式部分をカーブアウトして株式コンポジット に含める場合には、本ガイダンス・ステートメントに定める条件を満たす限り、当該会社のポ ートフォリオにおける同様の株式セグメントはすべてカーブアウトして株式コンポジットに 含めなければならない)。
  • 会社がポートフォリオの一部分をカーブアウトすることを選択した場合、ポートフォリオのそ の他の部分もカーブアウトすることを強制されるわけではない。
  • カーブアウトを含むコンポジットのパフォーマンスを運用報酬控除後で提示する場合には、カ ーブアウト・リターンから運用報酬を控除しなければならない。その際の報酬は、カーブアウ トを含むコンポジットの報酬率表を勘案して、カーブアウトされた資産クラスの個別ポートフ ォリオに課される運用報酬を代表する水準とすべきである。
  • カーブアウトは、それぞれ現金を有していなければならない。現金ポジションの適切な管理方 法には次のものが含まれる。
    1. 個別ポートフォリオ: カストディアンにおいて現金や証券を実際に分けて個別のポートフォリオとする方法
    2. 複数現金口座: 各セグメントに対応した現金毎に分離勘定(株式の現金勘定、債券の現金勘定等)で管理する方法
    3. サブ・ポートフォリオ: ポートフォリオの各セグメントを個別ポートフォリオとみなして管理する方法

廃止したカーブアウトのパフォーマンス記録

2010 年1 月1日より前の運用実績について現金配分法を使用してカーブアウトを構築していた会 社が、2010 年1 月1日以降の運用実績については、カーブアウトの現金ポジションを個別管理する 方法を採用しないこととし当該カーブアウトを廃止する場合には、会社は次の条件をすべて満たさな ければならない。

  • 現金配分法を使用したカーブアウトの過去のパフォーマンス記録は、当該カーブアウトが含ま れていた同一のコンポジットにそのまま残さなければならない。
  • コンポジットの提示において、会社は、過去にカーブアウトが含まれていたこと、およびそれ らが含まれていた期間を開示しなければならない。
  • 会社が、現金配分法を使用したカーブアウトのみで構成されるコンポジットを有しており、 2010年1月1日以降の運用実績について、コンポジット中のカーブアウトの現金ポジションを 個別管理する方法を採用しない場合には、当該コンポジットは廃止されることになるが、廃止 後5年間は会社のコンポジット一覧に引続き掲載しなければならない。

許容される使用方法

2010 年1 月1日以降、カーブアウトはそれぞれの現金とともに個別管理しなければならない(す なわち、現金配分法は2010 年1 月1日以降、許容されないこととなる)。この変更は遡及適用され ないため、現存するカーブアウトの実績を変更してはならない。コンポジットの戦略を代表するカー ブアウトのトラックレコードは、当該カーブアウトが現金とともに個別管理されている限り、他のポ ートフォリオと同様に利用してよい。会社は、異なるカーブアウトやコンポジットを組み合わせて、 仮想戦略的なコンポジットをGIPS 基準への準拠を目的として新たに構築してはならない。例えば、 株式カーブアウトと債券カーブアウトを組み合わせて仮想バランス型コンポジットを構築してはな らない。この種のコンポジットは、実際のリターンで構成されているものの、現実に行われた資産配 分を反映していないため仮想的なものであり、GIPS 基準ではモデルまたはシミュレーション結果と みなされる。このような情報は補足情報としてのみ提示することができるが、実際のリターンにリン クしてはならない。

開示事項

GIPS 基準4.A.11 では、多資産ポートフォリオから単一資産を切り取りそのリターンを単一資産コ ンポジットに含めて提示するときは、会社は、2010 年1 月1日より前の運用実績について使用した 現金配分方法を開示しなければならないと規定している。会社は、現金配分方法を変更したときは当 該変更について開示するよう勧奨される。

さらに、GIPS 基準5.A.5 では、2006 年1 月1 日以降の運用実績について、多資産ポートフォリオ からの単一資産カーブアウトをコンポジットに組み入れるか、もしくは当該カーブアウトを使用して コンポジットを構築するときは、各期の当該コンポジット資産に占めるカーブアウトの割合を提示し なければならないと規定している。

発効日

本ガイダンス・ステートメントの発効日は、2004 年6 月1 日であったが、GIPS 基準の改訂を反 映して2006 年1 月1 日付に変更された。

会社は、本ガイダンスを元の発効日である2004 年6 月1 日より前に適用することが奨励されるが、 必須ではない。しかしながら、改訂前のガイダンスは、当該日(2004 年6 月1 日)以降のすべての 運用実績に適用しなければならない。

本ガイダンスの改訂内容(2006 年1 月1 日発効)は、2006 年1 月1 日以降のすべての運用実績に 適用しなければならない。

適用事例:

事例1.
B社ではバランス型ポートフォリオを運用しており、株式部分をカーブアウトして株式コンポジットを構築 したいと考えている。B社では債券投資戦略に0.75%、株式投資戦略に1.50%、バランス型投資戦略に は1.00%の運用報酬を課している。この場合、フィー(運用報酬)控除後リターンを提示するために、株 式のカーブアウトに対して運用報酬をどのように配分すべきか。

会社は、各資産クラスに適合した運用報酬をカーブアウト・セグメントに配分しなければならない。 この場合、会社は株式運用に課される1.50%を使用しなければならない。


上記のガイダンス・ステートメントのPDFファイルは、以下からダウンロード下さい。
カーブアウトの取扱いに関するガイダンス・ステートメント(改訂版)



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