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3. 不動産賃貸業の会計処理の特徴

入力者 山下章太 更新日 20090725

不動産賃貸業は、賃貸物件を購入し、賃貸物件から発生するキャッシュ・フローを元に、営業を行うという設備産業です。 他の業種と比較しても、調達資金は多額となり、返済までの期間も長期間になってしまうという特徴があります。

不動産賃貸業の財務内容

不動産賃貸業の最大の資産は言うまでもなく、賃貸ビルなどの不動産です。
賃貸ビルは、数十年間に渡って賃料を確保していくものですので、P/Lの売上金額と比較しても、多額の固定資産がB/Sに計上されていると思います。

また、不動産賃貸業の特徴としては、不動産賃貸業のキャッシュ・フローは必ずプラスになっていないといけません。
というのは、賃貸ビルの収入は通常前払いですし、売掛金などの運転資金は必要ありません.
そのため設備投資や建築費用などを除いては、必ずプラスになっていないと、賃貸ビルの建設時の借入金を返済できないからです。
このような理由から、不動産賃貸業には、通常は多額の借入金が存在し、P/Lは黒字になります。

以下に例を挙げますと

【貸借対照表】

【損益計算書】

【キャッシュ・フロー計算書(X年度)】

B/S、P/L、C/F計算書は、上記のようになっていましたが、
ビジネスモデルは純粋な不動産賃貸業ですので、商品や売掛金・買掛金などは存在していません。

保有している資産は、現金預金を除けば、土地・建物といった不動産のみです。
また、P/Lについても、賃料としての収入があるのみで、後は減価償却費と経費のみとなっています。

不動産賃貸業の経費は、減価償却費を除けば、それほど大きくなく、通常は黒字が発生します。
このため、不動産賃貸業はある程度節税対策が必要な業種ともいえます。
決算書上の経費として、過大な役員報酬が含まれている可能性もありますし、
関係会社への補修メンテナンス費用として、一般的な業者に依頼するよりも高い金額で費用計上している可能性もあります。

上記の場合、借入金の返済に1億円のキャッシュ・アウトが発生していますが、それ以外には大きな支出はありません。
実際に不動産賃貸業を検討する際には、賃貸用不動産の大規模修繕(賃貸ビルの経年劣化による大規模な補修や改修)に必要な資金を、
ちゃんと確保できているかどうかということになります。

以上のように、不動産賃貸業の財務内容を判断する際には、以下の点について考える必要があります。

  1. P/Lで算出される利益ではなく、削減可能な費用を入れた上で、実際にいくらのキャッシュ・フローが見込まれるかを判断する
  2. 発生するキャッシュ・フローは、賃貸ビルの築年数の増加によって賃料収入が減少していくが、
    借入金の返済に必要な年数までに完済が可能となっているかを判断する

なお、不動産賃貸業は、銀行の自己査定基準での償還見込年数も扱いが異なるケースが存在します。
たとえば、ある銀行の自己査定基準では、図表Xのようになることもあります。

【図表X:銀行の自己査定基準】

※銀行により、債務者区分の判定基準は異なりますので、あくまで一例です。


要償還債務は長期借入金の15億円です。
・償還見込年数=15億円÷1.1億円=13.6年
となり、一般業の債務者区分では、要注意先となりますが、
先ほどから不動産賃貸業の特徴を記載しているように、
不動産賃貸業は、賃料収入を得るために、賃貸ビルを購入した当初は多額の借入を抱えることになります。
このような特徴から、銀行の自己査定基準や融資時の審査においても、一般業と比較すると返済年数が長めに設定されています。
上記の償還見込年数は13.6年でしたが、銀行の自己査定基準における不動産賃貸業の正常先の年数内には入っていますので、
不動産賃貸業としては、キャッシュ・フローは問題ないと区分されることになります。

なお、不動産賃貸業の償還見込年数は、保有している物件の残存年数以下でなければなりません。
たとえば、渋谷不動産の保有しているビルの築年数が30年経過しているため10年後に建て替えを行わないといけないとします。
この場合において、借入の返済に15年掛かるというのであれば、賃貸ビルの残存年数よりも借入返済に必要な期間の方が長いため、
借入金は全額返済されないということになってしまいます。

このように、保有不動産から判断して、借入金の返済年数として妥当な水準にあるかどうかということは、
個別に判断しなければなりませんので、注意して下さい。



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