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会計処理

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4. ノンバンクの会計処理に関する特徴

入力者 山下章太 更新日 20090725

金融業は、他の業態とは異なった運転資金の使い方をしています。
ここでは、金融業というと非常に範囲が広くなりますので、話を単純化するために消費者金融業者をサンプルとして説明します。

金融業の財務内容

消費者金融会社は、お金を借りたい人に対して、高金利で貸付を行うというイメージがありますが、
貸付金利は以前と比べるとかなり下がってきています。
数年前までは、貸出を行う際の異なる上限金利を定めた法律が存在していました。
出資法と利息制限法という法律ですが、出資法の上限金利(年29.2%)と利息制限法の上限金利(年15〜20%)が異なっていたわけです。
(詳細はyenlandのlibrary、小口債権 過払金返還請求「1. 貸金業者の金利を規制する法律」をご参照下さい。)

【図表P-1:消費者向けローンの金利例】

消費者金融のビジネスモデルは、いたってシンプルです。
銀行から金利5%で貸付のための資金を借入し、借り手に10%で貸付を行うと、消費者金融は5%の利鞘を得ることができます。

また消費者金融は、世間一般的には高金利と思われているかも知れませんが、銀行よりも調達コストが高く、
高い貸倒リスクを取っていますので、当然金利も高くなります。

【図表P-2:消費者金融の資金の流れ】

消費者金融業者のB/S、P/L、C/Fの例をみてみましょう。

【貸借対照表】

【損益計算書】

20億円の貸付を行っていますが、資金調達の内訳としては、借入金15億円と出資および内部留保7億円を元手にしています。
貸し手の金融機関としては、資産(貸付金)よりも負債(借入金)の方が大きい場合は、そもそも返済資金が確保できませんので、融資を行うことはできません。

貸金業者は過渡期にあります。
平成19年の最高裁判決により、現在は実質的に利息制限法の上限金利(15〜20%)を越える貸付金利での融資は行うことができなくなっていますので、
貸金業者にとっては厳しい状況になっています。

現在の大手消費者金融業者で貸倒率が貸付金の約5%〜10%程度になっていますが、大手以外の消費者金融業者の貸倒費用は大手の水準を上回ると思われます。
貸付金利(15%) = 調達コスト(5%)+経費率(5%)+貸倒率(5%)
この場合、銀行よりも消費者金融業者の方が貸倒リスクが高くなります。つまり
銀行系消費者金融 < 大手消費者金融 < 中小消費者金融

大手消費者金融業者で5%〜10%の貸倒率ですので、中小消費者金融業者の貸倒率はそれよりも高くなります。

中小消費者金融業者の場合、大手消費者金融業者が貸付を行わない債務者が融資申込みにきます。
貸倒コストは、貸倒引当金繰入額だけだったとすると、
貸倒率=貸倒引当金繰入額(0.5億円)÷営業貸付金(20億円)=2.5%
となっています。

仮に、中小諸費者金融業者の平均的な貸倒率が15%だったとすると、
今回のケースの貸倒率の水準は、他の中小消費者金融業者の15%と比較して著しく低いことが分かります。
消費者金融業者が貸付を行う対象は、大口債務者ではありませんので、広く浅く融資を行います。
すなわち、「大数の法則」に従うと仮定して、平均的な貸倒れを想定しています。

このような融資実態を理解していると、貸倒率は違和感のある水準であるといえるでしょう。

上記では、貸倒率を貸倒引当金繰入額として算定していますが、そもそも貸倒引当金とは、
貸付金の返済不能な状況に備えて、あらかじめ貸倒費用を見積もって費用処理しておくものです。
たとえば、貸倒率が5%と見積もられた場合、貸付金の5%を予め貸倒引当金として費用処理しておくものです。

貸倒引当金は、債務者を延滞の有無などで分類して、信用力に応じて引当金を繰入していきます。
この債務者の信用力を調査する作業を「自己査定」といいますが、この作業は銀行も行っています。
消費者金融の自己査定は、個人の信用力を調べようがない部分もありますので、通常は単純に延滞の有無や延滞日数などで判断することになります。

Q.では貸倒引当金の金額を減らすためにはどうすればいいのでしょうか?

A.延滞しそうになっている債務者に対して、支払資金を融資してあげればいいのです。
利息が払えない債務者に対しては、利息支払資金を融資したことにして、元本の金額を増やします。
こうすれば、債務者区分が悪い先が少なくなりますので、自然と貸倒引当金の金額も小さくなります。

今回のケースが返済不能な債務者に対して融資をして、意図的に貸倒引当金を減らすようにしていたかどうかは分かりません。
ただ、同業と比較すると貸倒引当金が明らかに低い水準である場合は、何かあると考えた方がいいでしょう。
調べてみると、いろんなことが分かるかもしれません。



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