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項目

3. 収益の状況

入力者 山下章太 更新日 20071012

自己査定でのステップとして、過去の収益の状況(損益計算書)を見るというがあります。

前回にも記載しましたが、赤字かどうかで債務者区分を第一段階的に判断するというものです。

利益は、数年間(過去3期程度)の営業利益・経常利益・当期利益という各利益で判断することになりますので、 各利益項目で1つでも赤字になっていれば、債務者区分が要注意になる可能性があります。

銀行によって自己査定の基準は若干違ってきますが、例えば、 『営業損失、経常損失、当期損失のいずれか、又はキャッシュ・フロー(CF)がマイナスのケースが過去3期間にある』 というようなケースが要注意先と判断されることになります。

仮に赤字になっている場合でも、以下のようなケースは正常先になる可能性が高いと思います。

@創業赤字であり、計画との乖離が大きくない場合
A赤字は一過性のものであり、短期に解消すると見込まれる場合
B経営者の資産等を考慮すると債権の回収可能性について問題がないと認められる場合
C自己資本、余剰資金が十分であり、債務の返済能力に問題がない場合

具体的には、以下の通りです。

@創業赤字であり、計画との乖離が大きくない場合

これは、設立から概ね5年以内の企業に対するプラス要因です。

創業当初から赤字でスタートする計画であった場合が該当します。

設立に要する費用など創業時特有のコストが多額に計上されることが多く、 創業当初は黒字計上することが困難なケースが多く見られますので、 そこは大目にみましょうという趣旨です。

会社の事業性を無視して、このような場合にまで債務者区分に影響させるというのでは、 企業活動に大きな制約が生じます。

このため、創業時の赤字については、一定の条件を満たしている場合には、 正常先とする銀行が大半かと思います。

ただ、銀行は過去の決算書から融資できるかを判断しますので、 創業時にお金を貸してくれるところは、実際は限られます。

正常先となるためには、
  • 設立から概ね5年以内であること
  • 事業計画が、債務返済が可能な水準にあり、概ね5年以内に黒字化すること
  • 設立当初の事業計画と比較して、売上高・営業利益・経常利益・当期利益が7割以上達成している
  • 営業赤字にはなっていない
などが必要になってくると思います。

※自己査定では、計画との対比において、”7割”とか”8割”という比率が多く用いられる傾向があります。

A赤字は一過性のものであり、短期に解消すると見込まれる場合

これは、業績が回復することが見込まれる企業に対するプラス要因です。

どの会社でも、調子の悪い時はあります。 翌期は黒字に回復する場合にまで債務者区分を下げるというのは、やり過ぎです。

但し、ここでの赤字は、基本的に業績に影響するような利益(営業利益・経常利益)は黒字であることが前提で、 特殊要因(固定資産の売却損など)によって多額の特別損失が計上されたことによって、 当期損失を計上した場合が該当します。

あくまで、本業は順調な場合です。

正常先となるためには、
  • 営業利益・経常利益がプラスであること
  • 一時的な要因によって、赤字となったこと
  • 翌期以降は黒字計上が可能であること
が必要になってくると思います。

B経営者の資産等を考慮すると債権の回収可能性について問題がないと認められる場合

日本には多くの中小企業があり、会社≒社長(経営者)のような会社がたくさんあります。

このような場合は、経営者と会社を一体で評価し、仮に会社の業績が悪くても、 経営者の信用力で補填することで、債務者区分上プラス要因とするものです。

外国も同じですが、オーナー企業の場合は、会社が利益計上する必要がありません。

これは、多くのオーナー企業の目的が節税であることに起因していますが、経営者に十分な資産背景があれば、 会社の債務返済も可能です。

また、会社が多額の役員報酬を払いすぎていて、赤字となっているケースもありますので、 このような場合も削減可能な役員報酬等を考慮して債務者区分を判定する必要があります。

正常先となるためには、
  • 経営者が会社の債務を連帯保証している
  • 経営者が債務返済に十分な資産を有している
  • 経営者向けの削減可能役員報酬を考慮すると、債務返済が可能である
が必要になってくると思います。

C自己資本、余剰資金が十分であり、債務の返済能力に問題がない場合

前述のBのケースと似ていますが、日本には節税目的の会社が多く存在しており、 利益の計上を回避しているケースがあります。

特に、資産管理会社のようなケースは、債務返済に十分な資産はあっても、 節税目的で赤字を計上しているケースが多いと思います。

余剰資金や売却可能資産が多くあり、 債務返済余力が十分ある場合にまで債務者区分を悪化させる必要性はありません。

正常先となるためには、
  • 会社に債務返済に十分な余剰資金・売却可能資産がある
が必要になってくると思います。

判断の目安

以上より、収益の状況を債務者区分にどのように判断していくかの概要はお分かりいただけたと思いますが、 実際にケース分けして見てみましょう。

ケース マイナス要因 プラス要因 目安となる債務者区分
赤字計上していない ----- ----- 正常先
翌期以降の赤字計上の可能性が極めて高い 以下のようなケース
@創業赤字であり、計画との乖離が大きくない
A赤字は一過性のものであり、短期に解消すると見込まれる
B経営者の役員報酬、経営者の資産等を考慮すると、債権の回収可能性について特に問題がない
C自己資本、余剰資金が十分であり、債務の返済能力には問題がない
正常先
----- 要注意先
過去3期以内に赤字(営業損失、経常損失、当期準損失)を計上、キャッシュ・フローがマイナスにある。 ----- 以下のようなケース
@創業赤字であり、計画との乖離が大きくない
A赤字は一過性のものであり、短期に解消すると見込まれる
B経営者の役員報酬、経営者の資産等を考慮すると、債権の回収可能性について特に問題がない
C自己資本、余剰資金が十分であり、債務の返済能力には問題がない
正常先
----- 要注意先
概ね1年以内に債務超過に陥る可能性が高い ----- 破綻懸念先

以上でご説明した債務者区分の目安は、あくまで参考ですので、 銀行等によっては判断基準が異なる可能性があります。

収益の状況については、主に「要注意先か?」という点がポイントになってきます。



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