ベトナム会計システムは、次のように構成されています。
- 標準勘定科目体系及び各勘定項目の解説
- 会計報告システム及び財務諸表作成のガイドライン
- 会計帳簿システム
- 会計書類システム
ベトナムの会計原則では、勘定科目および勘定科目番号が決まっており、それに合わせて記帳をします。 勘定科目の追加や変更には財務省による認可が必要です。
ベトナムの財務諸表については、貸借対照表、損益計算表、キャッシュフロー計算書および財務諸表の注記事項の4種類が財務諸表の1式となります。
その様式は法令上決まっていますので、規定の様式に沿った作成が求められます。
会計帳簿への記帳には、勘定科目、摘要などをベトナム語で記載します。英語や日本語などの併記も認められますが、ベトナム語の記載は必須です。
通貨単位も原則ベトナムドンですが、財務省の認可により外貨による記帳も認められています。
その場合、ベトナムでの使用を目的とした財務諸表を作成するときは、期末のベトナム中央銀行による外貨為替レートを用いて、
ベトナムドンによる財務諸表を作成しなければなりません。
取引がベトナムドン以外の通貨であった場合、その通貨建ての取引額と、その取引が発生した日のベトナム中央銀行による 外貨為替レートを用いてベトナムドン換算額あるいは実際に使用した外貨為替レートで記載します。
なお、記帳に使った証憑類及び会計帳簿は、最低10年間保存しなければなりません。
収益、費用、資産、負債は、レッドインボイスなどの証憑類に基づいて記帳を行います。
レッドインボイス(公式VATインボイス)とは、物やサービスの販売時に発行しなければならない
VAT(付加価値税、日本における消費税のようなもの)の計算のために利用する請求書です。
レッドインボイスは税務局から購入しますが、購入の前にまず税務局に対して申請を行います。
申請後に税務局員が事業所を訪れ、ライセンスやタックスIDナンバー、顧客との契約関係などを示す書類の確認を求められます。
税務局員の調査後1週間ほどにてレッドインボイスを購入することができます。
レッドインボイスに不備がある場合は、会計記録の証憑として認められませんので注意が必要です。
ベトナム会計システムの特徴を列挙すると下記の通りとなります。
- 勘定科目名と勘定コードが固定されており、どの企業も同じ勘定科目名と勘定コード番号を使用しなければならない。
- 財務諸表の様式が特定されている。
- 損益計算書の様式に特徴がある。
- 会計帳簿類にベトナム語表記が必要。
- 輸出の割合が多い企業は、財務諸表通貨単位に米ドルを使用するのも可能。
- 特定の産業の特殊な事情がある場合には、財務省へ提出し承認を得られれば規定外の処理を実施することが出来る。

