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投資不動産の評価に関する事項

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8. 不動産鑑定評価:収益還元法による評価

入力者 山下章太 更新日 20110519

不動産鑑定評価:収益還元法による評価

代表的な不動産評価方法である、収益還元法について説明します。

この方法は、不動産から発生するキャッシュ・フローの現在価値を不動産評価額とする方法ですので、 債権評価や株式評価に慣れている人であれば、一番理解しやすい方法だと思います。

鑑定評価基準では、収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより 対象不動産の試算価格を求める手法である(この手法による試算価格を収益価格という。) (不動産鑑定評価基準第7章 第1節 W収益還元法)と記載されています。

収益還元法には直接還元法とDCF法があり、直接還元法は一期間の純収益を還元利回りで還元するのに対し、 DCF法は連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法です。

@直接還元法

直接還元法における不動産評価額は、下式のように表わすことができます。

直接還元法の式

債権評価や株式評価においては、概念的には存在していても、直接還元法という方法がそのまま利用されるということは あまり無いと思いますが、不動産は、NOI(Net Operating Income)やNCF(Net Cash Flow)をキャップレートで割戻して 物件価値を算定するという方法が伝統的に使われていますので、不動産業界の人にとっては最も理解しやすい方法だとは思います。

例えば、年間の純収益(計算式のa)が110で、還元利回り(計算式のR)が5%だったとすると、 毎年同じキャッシュ・フローが発生しますので、算定される不動産価格は、110÷5%=2,200となります。

発生するキャッシュ・フローは毎年同じ金額ですので、下図のようなイメージになります。

直接還元法のイメージ

直接還元法のイメージ

ADCF法

DCF法における不動産評価額は、下式のように表わすことができます。

DCF法の式

DCF法は、対象不動産から発生する毎年のキャッシュ・フローを算定し、不動産の価値を算定する方法ですので、 毎年異なるキャッシュ・フローを使用することが可能です。

ここで、復帰価格という概念が出てきますが、DCF法は毎年のキャッシュ・フローを使用して不動産価値を算定するといっても、 基本的には不動産は永久的に存在することを前提とします。

ですので、厳密に言うと、何万年も先のキャッシュ・フローを算定するということが必要になりますが、 将来部分については何れにしても見積りが入りますので、 標準化された純収益(キャッシュ・フロー)を用いて直接還元法で算定した価格を復帰価格として用います。

すなわち、DCF法は毎年のキャッシュ・フローを利用して不動産価値を算定しているといっても、 実際に利用するキャッシュ・フローは、最大でも10年程度までで、それ以降は見積りによって 標準化したキャッシュ・フロー(復帰価格)を使用して評価を行います。長期間で見た場合は、 DCF法も直接還元法もそれほど大きな違いはありません。

株式評価においても、DCF法を利用しますが、ゴーイングコンサーン(企業は永久に継続していくこと)を前提にしていますので、 不動産評価と同様に、継続価値というものを用いて算定します。

不動産評価の場合は「復帰価値」、株式評価の場合は「継続価値」と呼び方は違いますが、 永久的にDCF法でキャッシュ・フローを作成することはできませんので、同じように利用されています。

直接還元法との比較で、DCF法による評価イメージを掲載すると下図のようになります。

DCF法のイメージ

DCF法の式

直接還元法とDCF法の違いは、将来のキャッシュ・フローを変動させるかどうかという点だけです。

キャッシュ・フローが同じ場合は、計算結果は同じになります。すなわち、下記のようなDCF法の計算式におけるCFが一定で、 割引率を同じで算定すると、最終的に直接還元法と同じ計算式になります。

直接還元法とDCF法の違い

直接還元法の計算式は、純収益を還元利回りで割り戻すという単純なものですが、 不動産の場合は賃料収入や運営費用がそれほど大きく変動しませんので、わざわざDCF法を使わなくてもそれほど問題にはなりません。

債権評価や株式評価の場合は、将来のキャッシュ・フローが一定ではないため、DCF法を利用することが多くなります。




ご参考情報

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【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
不動産をファイナンスとして利用するための基礎知識や、担保価値を把握するための手法、不動産を利用したファイナンスに関するさまざまな特徴を、難解な部分を極力排除したうえで、事例を交えながら解説。

出版社リンクページ:
金融マンのための不動産ファイナンス講座

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