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14. 鑑定評価の事例演習5:不動産保全額の算定

入力者 山下章太 更新日 20110526

鑑定評価の事例演習5:不動産保全額の算定

事例5:不動産保全額の算定(複数行が担保設定しているケース)

ここでは、不動産評価額を利用して、不動産保全額がどのように算定されているかについて、解説していきます。

虎ノ門銀行と丸の内銀行が成田工務店の保有物件(下記のA〜C)に対して担保設定しています。
それぞれの物件の不動産評価額は、以下のようになっています。
物件A:1,000百万円
物件B:600百万円
物件C:500百万円
これらの物件に設定されている、抵当権・根抵当権の内容は、図表Xのようになっていました。



物件評価額と担保設定状況

物件評価額と担保設定状況

不動産の担保評価を行う際には、下記の2点に留意して、不動産保全額を計算する必要があります。

@抵当権・根抵当権の区別

A共同担保目録の有無



担保設定が複雑になってくると、そのまま保全額を計算することができなくなりますが、 ここでは、物件A、物件B、物件Cの順番に不動産保全額をどのように計算していくかを検討していきます。

まず、物件Aの評価額は、1,000百万円ですが、合計で1,300百万円の抵当権が設定されています。

基本的には、担保設定順位が1番から優先的に充当していきますので、この物件の場合は、
・第1順位の虎ノ門銀行(500百万円の根抵当権)が500百万円を保全
・第2順位の丸の内銀行(500百万円の抵当権)が500百万円を保全
この2つの担保で、評価額による保全が行われましたので、第3順位の虎ノ門銀行(300百万円の抵当権)には取り分(保全額)が発生しません。



物件Aの不動産保全額の計算

物件Aの不動産保全額の計算

この際、虎ノ門銀行は、第1順位として500万円の根抵当権(共同担保番号1)を設定していますが、極度額の全額を保全することになりましたので、 この根抵当権(共同担保番号1)からは、これ以上の回収を行うことはできません。

第2順位の丸の内銀行は、抵当権で、共同担保目録に記載がありませんので、単独で保全可能な担保権となっています。
丸の内銀行は、物件Aの保全によって、他の担保権の取り分金額に影響を受けません。

この前提で、次の物件Bの保全額を計算してみましょう。

物件Bの保全額は、下図のようになります。



物件Bの不動産保全額の計算

物件Bの不動産保全額の計算

物件Bの評価額は、600百万円です。
・第1順位の丸の内銀行(500百万円の抵当権)が500百万円を保全

次に、第2順位の虎ノ門銀行(500百万円の根抵当権)に余剰分が周ることになりますが、 この根抵当権(共同担保番号1)は既に物件Aで全額保全しているため、第2順位の虎ノ門銀行(500百万円の根抵当権)は保全額が生じません。

よって、第3順位の虎ノ門銀行(300百万円の抵当権)が余剰額である100百万円を保全することになります。

ここで、丸の内銀行(500百万円の抵当権、共同担保番号2)は設定している金額の全額を回収しましたので、 共同担保番号2の抵当権では、これ以上の回収はできません。

次に、物件Cの保全額の計算を行います。
計算の結果は、下図のようになりました。



物件Cの不動産保全額の計算

物件Cの不動産保全額の計算

物件Cの評価額は、500百万円ですが、第1順位の丸の内銀行(500百万円の抵当権、共同担保番号2)は、 物件Bで全額を保全していますので、物件Cから保全額は発生しません。

同様に、第2順位の虎ノ門銀行(500百万円の根抵当権、共同担保番号1)についても、 物件Aで全額を保全していますので、物件Cからは保全額は発生しません。

よって、第3順位の虎ノ門銀行(300百万円の抵当権)のみに回収余力が発生しますので、 物件Cの保全額は、虎ノ門銀行の担保設定金額である300百万円になります。

物件A〜Cの各担保権から発生する不動産保全額を要約すると、下図のようになります。



各担保権から発生する不動産保全額

各担保権から発生する不動産保全額

これを、各銀行ごとに集計すると、下図のようになります。

各銀行の不動産保全額の合計

各銀行の不動産保全額の合計



このように、不動産保全額を算定するうえでは、下記の2点に留意して計算を行うことになりますが、 特に、担保余剰が発生する場合は、下記Aの共同担保目録に登録される担保設定金額が、どのように充当されるかによって保全額が異なることになります。

@抵当権・根抵当権の区別

A共同担保目録の有無

融資における保全額を計算する上では、不動産評価額が全て保全されているわけではないため、抵当権・根抵当権によって設定されている担保設定状況を分析し、 保全額を算定するというプロセスが必要となります。




ご参考情報

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【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
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