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不動産ファイナンスの基礎論点

項目

10. 不動産投資におけるキャッシュ・フロー

入力者 山下章太 更新日 20110602

不動産投資におけるキャッシュ・フロー

キャッシュ・フローは、資金(キャッシュ)の増加又は減少を表すものですが、投資や融資を行う際には、 最も重要な概念です。

銀行が貸付を行う場合、会社が生み出す資金(キャッシュ)から貸付金を返済してもらわなければなりま せんし、不動産に投資した場合にも、不動産が生み出す資金(キャッシュ)から投資資金を回収しなければ なりません。

一般事業会社に対して投資を行う際に最も重視するキャッシュ・フローは、フリー・キャッシュ・フロー (以下では、「FCF」と記載します)です。一般事業会社会社に貸付を行う際に最も重視するキャッシュ・フ ローは、「営業C/F」です。

これに対して、不動産で一般的に利用されるキャッシュ・フローは、ネット・キャッシュ・フロー(NCF)で すが、FCFや営業CFとの違いは、法人税を考慮するかどうかです。

FCFと営業CFを概算で計算すると、

営業C/F=営業利益―税金+減価償却費

FCF=営業C/F−CAPEX

となります。

たとえば、営業利益から営業CF、FCFを算定する過程は、図表Xのようになります。

【一般事業会社における営業CF、FCFの計算過程】

営業CF、FCFの計算過程

C/F計算書の作成の箇所で触れましたが、銀行の場合は、設備投資の資金(CAPEX)を財務C/Fとして融資 しますので、FCFよりも営業C/Fを重視します。

逆に、株主からすれば、最終的に会社に残る資金が株式の価値(残余財産分配可能額)になりますので、 設備投資の資金(CAPEX)も外部流出する資金と捉え、FCFを重視するという傾向があります。

これに対して、不動産において重視するNCFは、図表Xのようになります。営業CFやFCFと比較すると、税 金を考慮せずに計算する点が違ってきます。あくまで不動産に対する投資ということが前提となりますので、 税金は不動産に投資した後に掛かってくるものと考えるからです。

【不動産におけるNCFの計算過程】

NCFの計算過程



CAPEXと減価償却

資金繰りを見ていくうえでは、設備投資(CAPEX:Capital Expenditure、資本的支出、キャペックス)と 減価償却費は極めて重要です。

減価償却費は現金の支出を伴わないコストですので、キャッシュ・フローを作成する際には調整が必要で す。逆に、資本的支出は固定資産の購入時の支出ですが、損益計算書(P/L)に費用計上されませんので、キ ャッシュ・フローからマイナスする必要があるからです。ここでは、減価償却費とCAPEXについて解説します。



減価償却費の調整

会社が生産設備を増強したり、建物を建設したりといった固定資産の購入に支出した場合、その固定資産 は数年〜数十年間にわたって利用されます。支出したお金が固定資産の購入に利用された場合、一度に費用化 してしまうと、数十年にわたる利用に応じた費用化ができないだけでなく、その期の業績が大幅に悪くなって しまいます。このような理由から、固定資産の費用化について、会計上は減価償却費という概念を採り入れ、 使用が長期にわたるような固定資産を、一度に費用化せずに、価値の減少分を毎年少しずつ費用化して、固定 資産の利用と費用化のタイミングを調整しています。

キャッシュ・フローを算定する際に、減価償却費をプラスする理由は、実際の現金の支出は固定資産の購入 時に行われているため、減価償却費によって現金の支出は発生しないからです。減価償却費のような現金を支 払わないコストを『非現金支出費用(お金を支払わないコスト)』といいます。



CAPEXの調整

損益計算書(P/L)から年間の大まかなキャッシュ・フローを把握することはできますが、資本的支出 (CAPEX)はP/Lに出てきません。

C/F計算書であれば、「投資C/F」に表示されていますので、比較的金額を把握しやすいのですが、作成して いない場合は、

CAPEX=固定資産(当期)―固定資産(前期)+減価償却費

として算定します。

設備投資による支出は、会社にとって非常に大きなキャッシュ・アウトですが、今後どれだけのCAPEXが会社 にとって必要になるのかを正確に把握しておかなければ、いくら資金があっても足りません。

「黒字倒産」という言葉がありますが、P/Lでは黒字にも関わらず、多額のCAPEXが必要になると、資金繰りが 悪化し、倒産することになります。

マンションの大規模修繕も同じですが、金額が大きいため、今後どれだけの資金が必要になるかを読み間違え ると、一気に資金破綻を起こしてしまいます。このように、CAPEXは会社のキャッシュ・フローを考えるうえでは とても重要です。



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