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不動産ファイナンスの基礎論点

項目

15. 不動産証券化における倒産隔離の概念

入力者 山下章太 更新日 20110806

倒産隔離の概念

「倒産隔離」という概念も重要になります。「倒産隔離」とは、物件の保有者が物件を売却したにも関わらず、 原所有者のリスクを受けてしまうことを回避することです。

たとえば、不動産会社が賃貸ビルを保有していたとします。このビルをSPCに対して譲渡した後、SPCはビルを 他人に貸出していたとします。倒産隔離ができて無い場合は、渋谷不動産が倒産してしまうと、賃貸ビルは債権 者に取り上げられてしまうことになります。このようなことがあっては、不動産賃貸から発生するキャッシュ・フローを 担保にした証券化のスキームが破綻してしまいます。

このようなことがないように、原所有者(資産の譲渡人)の倒産リスクから切り離す(隔離する)ことが重要 となります。

なお、倒産隔離ができるような要件を満たす売買を、「真正譲渡」といいます。

【不動産流動化と倒産隔離】

不動産流動化と倒産隔離

倒産隔離は、不動産所有者の信用力から切り離すために、行うのですが、そもそも債務者がどのような方法で 倒産したかによって担保権の効力が違ってきます。

たとえば、日本で利用されている倒産手続は主に、破産法、会社更生法、民事再生法の何れかで行われること になりますが、そもそも担保権が消滅する可能性も存在します。例示すると下図のようになりますが、事業継続 するために営業上必要な資産と認定される場合には、担保権が消滅する可能性があります。

【各倒産法における担保権消滅許可要件】

各倒産法における担保権消滅許可要件

また、一般的な売買であれば、特に問題はないのですが、不動産は破産者の財産の中でも金額が比較的大きく、 破産者の財産を減少させる行為と看做されたり、債権者間の平等を害する行為と看做されたりすると、その行為自 体が否認される場合があります。

準拠法によって若干異なる箇所もありますが、原則的な取扱いとして、否認対象となるのは、主に以下の3つです。



詐害行為

破産者の総財産の価格を減少させる行為であり、破産直前に不動産を安値で第三者に売却した場合などが該当します。

破産者の役職員が独断で財産を廉価処分した場合や、特定の買い手候補に対して廉価処分したりした場合に、 遡って売買行為自体を取り消すことができるものです。



偏頗行為

偏頗(へんぱ)とは、債権者間の平等を害する行為ですが、破産前に特定の債権者にのみ弁済を行ったりした場合 が該当します。

たとえば、渋谷不動産が虎ノ門銀行と丸の内銀行から借入をしている場合で、両方とも返済期日が到来している にも関わらず、丸の内銀行の借入のみを先に返済してから、倒産してしまった場合が該当します。この場合は、虎 ノ門銀行としては、自分の返済をされずに、丸の内銀行に偏頗弁済(偏った返済)をされてしまっていますので、文 句も言いたくなります。

このような、債権者間の平等を害するような行為を会社が行った場合、偏頗行為と看做され、行為が否認される 訳です。



対抗要件具備

不動産の売買を行ってから、すみやかに対抗要件を具備しなかった場合が該当します。通常、不動産売買を行った 場合は、第三者対抗要件を具備しなければなりませんが、すみやかに(15日以内に)対抗要件を具備しなかった場合 には、対抗要件が否認されるという可能性があります。

偏頗弁済と対抗要件具備は、倒産隔離とそこまで関係ありませんので、ここでは、詐害行為否認について少しだ け説明します。

そもそも、詐害行為否認は、図表Cのように意図的に詐害行為を行った場合、無償で譲渡をした場合など詐害行為 否認が成立する要件は違ってきますが、ここでは、細かくなりすぎますので細部までは触れません。

たとえば、無償行為否認については、支払停止から6ヶ月以内に行われた詐害行為が対象となりますので、支払停 止の7ヶ月前に無償譲渡して倒産した場合は、否認対象になりませんが、支払停止の5ヶ月前に無償譲渡して倒産した 場合は無償行為否認の対象となります。

また、相当の対価を得てした財産処分については、特に悪質でない限り、認められる可能性が高くなります。不動 産には証券取引所のような、広く一般的な取引時価がありませんので、相当の対価は不動産鑑定評価額で判断すること になると思われます。

【詐害行為否認の成立要件】

詐害行為否認の成立要件

このように、物件所有者の倒産リスクを行うために、倒産隔離を行うのが、一般的な証券化となりますが、資産譲渡 の際に行われる、真正譲渡を満たすためには、最低限の否認要件等について理解しておかなければなりません。




ご参考情報

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【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
不動産をファイナンスとして利用するための基礎知識や、担保価値を把握するための手法、不動産を利用したファイナンスに関するさまざまな特徴を、難解な部分を極力排除したうえで、事例を交えながら解説。

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