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不動産ファイナンス(融資取引)

項目

2. 不動産ファイナンスにおけるレバレッジとクレジット

入力者 山下章太 更新日 20110813

不動産ファイナンスにおけるレバレッジ

負債調達(デット・ファイナンス)の目的の1つに、「レバレッジ」というものがあります。

「レバレッジ」は、投資額のリターンを上げるために、借入比率を高めることですが、この 場合の投資リターンは、投資家や株主からみた投資リターンです。

まず、レバレッジについて理解するために、会社の資金調達における数値例を使って説明します。

資金調達の100%を株式発行によって調達している会社があるとします(図表Xの左側の状態)。 この会社のROA(総資産利回り)は10%ですが、要は、100の資金を使って、10の利益を確保して いるということです。この場合は、株主(投資家)の利回りは10%になります。

この会社が、追加資金100が必要となり、全額を株主(投資家)による増資によって賄ったと します。(図表Xの右側)この場合、営業に利用できる資金は200に増加し、ROAが同じだとすると、 20の利益を得ることができるはずですが、出資金額が200になっているため、利回りは10%(20÷200) と変わらないのです。

株主(投資家)から見た場合、追加資金を出したとしても、同じ利回りしか確保できないのであれば、 あまり旨みはありません。

【図表X:全額増資のケース】

全額増資のケース

一方、この会社が必要資金100を増資ではなく、借入(金利3%)で調達したとすると(図表Xの右側)、 営業に利用できる資金は200に増加し、ROAが同じだとすると、20の利益を得ることができるはずです。

株主(投資家)から見た場合、借入金利はコストですので、支払金利3を差し引いた、17が株主(投資家) に関係する利益ということになります。

この場合の株主(投資家)は100の投資に対して、17の利益を得ることができましたので、 利回りは17%(17÷100)になりました。

借入を行ったことにより、株主(投資家)のリターンが7%増えましたが、この効果を「レバレッジ効果」 といい、借入を投資リターンを増加させるための「レバレッジ(直訳すれば「梃子(てこ)」)」として使っています。

【図表Y:レバレッジの例】

レバレッジの例

営業に利用できる資金が大きければ大きいほど、会社が獲得できる利益は大きくなるのですが、 株主(投資家)からすれば、出資金額はできるだけ少なくして、利回りを確保したいというニーズが あります。すなわち、株主(投資家)は、借入で調達できる状態であれば、増資で資金調達して欲し くないわけです。

このように、少ない元手で大きなリターンを得るために、会社は負債によるレバレッジを利用し、 株主(投資家)利回りを最大化しようとします。

不動産に対する投資の場合も、理屈は同じです。全額を投資家による出資ではなく、借入で調達 した方が投資リターンが上がりますので、不動産ファイナンスにおいても、レバレッジはとても重要 な概念といえます。

レバレッジとクレジットの関係

レバレッジは、エクイティの利回りを上げるために、デットの調達を行うことです。

ただし、借入の金額が増えると、返済しなければならない元本と利息の金額が増える ことになりますので、クレジット(信用力)という意味では、悪影響を及ぼします。

不動産ファイナンスにおいても、購入する不動産から発生するキャッシュ・フローを 割引く分母(エクイティの金額)が小さければ小さいほど、エクイティの利回りが高く なるため、レバレッジは掛ければ掛けるほど、エクイティにとっては有利になります。

ただし、エクイティの金額が極端に少なくなると、デットの元利金返済額が大きくな りすぎるため、不動産から発生するキャッシュ・フローの変化が、有利子負債返済のため の安定性を大きく阻害します。

たとえば、賃料や物件価格が下がるリスクは、不動産ファイナンスの仕組上、エクイティが 吸収することになるのですが、レバレッジが高すぎると、何かあった際に、リスクを吸収する エクイティの金額を超えてしまい、クレジットに大きく影響することになるのです。

一般的に、レバレッジが高いほど、ハイリスク・ハイリターンの投資となります。 逆に、レバレッジが低いほど、ローリスク・ローリターンの投資となります。

このように、クレジットとレバレッジは完全にトレードオフですので、レバレッジの水準を 調整しながら、ファイナンスを行う必要があります。

【図表X:レバレッジとクレジット】

レバレッジとクレジット




ご参考情報

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【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
不動産をファイナンスとして利用するための基礎知識や、担保価値を把握するための手法、不動産を利用したファイナンスに関するさまざまな特徴を、難解な部分を極力排除したうえで、事例を交えながら解説。

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