YENLAND TIME :  

 Top >  Library  |  印刷する印刷ページ       はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク Yahoo!ブックマークに追加 このページを Google Bookmarks に追加 RSS

大区分

投資

中区分

不動産

小区分

不動産ファイナンス(エクイティ)

項目

2. 不動産ファイナンスにおける信託受益権

入力者 山下章太 更新日 20130224

信託受益権とは

信託受益権については、概略をつかむ為に、簡単に説明します。

不動産ファイナンスで信託受益権が利用される場合、下図のような投資スキームが採用されます。

信託受益権を利用した不動産ファイナンス

信託受益権を利用するメリット:その1

信託受益権を使うメリットはいくつかあります。まずは、不動産売買に係る税金が大きく異なります。

@不動産取得税

不動産取得税は、都道府県が設定しているため、各自治体によって税率が違ってきますが、たとえば、東京都の場合、2010年4月現在では、

不動産取得税=取得した不動産の価格×1/2×4%

となっています。

これに対して、信託受益権の売買になるので、不動産取得税は課税されません。

A登録免許税

不動産の登録免許税(登記に必要な税金)は、2010年4月現在で、不動産の価格×0.4%です。

これに対して、信託受益権での売買の場合、受益者変更の登記が必要となりますが、1件あたり1,000円とかなり割安です。

B管理面

不動産を信託する場合、物件の所有権は信託銀行/信託会社に移転し、管理は信託銀行が行うことになるので、 物件所有者から切り離すことが可能となります。

信託受益権を保有している人は、信託銀行/信託会社から金銭分配のみを受ければよいので、管理の必要がありません。

これらを図示すると、下記のようになります。

信託受益権の売買と現物売買の比較

信託受益権を利用するメリット:その2

次に信託受益権を利用するメリットは、法制度上のものです。 匿名組合出資(TK出資)などを行って不動産の現物を取得した場合、不動産特定共同事業法という法律の要請で、 不動産特定共同事業者としての登録を行わないといけません。

具体的な要件は、下記のような要件ですが、ほとんどの不動産流動化はこれに該当してしまいます。

  • @投資家が出資を行い、
  • A事業者はそれを利用して不動産取引(売買、交換、賃貸)を行い、
  • B当該取引から生じる収益をの分配を投資家に約すること

不動産特定共同事業法は、国土交通省の管轄の法律ですが、不動産運用によってファンド運営する場合、 一定の要件を定めており、その要件を満たさなければならないとされています。

その要件とは、下記のようなものが該当しますが、実際に許可要件を満たすことは相当ハードルが高いことは分かると思います。

  • 法人であること。
  • 宅地建物取引業者であること
  • 最低資本金を1億円とすること(契約締結の代理媒介のみでは2000万円)
  • 純資産額が資本又は出資額の90%以上であること
  • 事務所ごとに「業務管理者」が置かれていること
  • 契約約款の内容が政令で定める基準に適合していること
  • 事業を適格に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有すること

不動産特定共同事業法の要件をクリアするためには、以下の2つの方法がありますが、 前者は相当コストも掛かると思いますので、現実的には現物の不動産を持たないようにして、 匿名組合(TK)などによって、構成員課税(パススルー)することとなります。

  • 不動産運用を不動産特定共同事業者などに委託するなどして、SPCは実質的に不動産運用を行わない
  • 現物の不動産を持たない

この現物を持たない要件を満たすために、不動産を信託銀行・信託会社に委託して、 信託受益権として現物を持っているのと同様の経済効果を実現します。

これは、メリットというよりも、法制度に対応するために、信託受益権が利用されているという言い方の方が、正確なのかもしれません。




ご参考情報

弊社代表の山下が執筆した不動産ファイナンスの入門書(金融マンのための不動産ファイナンス講座)が、全国書店でお買い求めいただけます。

【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
不動産をファイナンスとして利用するための基礎知識や、担保価値を把握するための手法、不動産を利用したファイナンスに関するさまざまな特徴を、難解な部分を極力排除したうえで、事例を交えながら解説。

出版社リンクページ:
金融マンのための不動産ファイナンス講座

amazon リンクページ





   はてなブックマークに追加 Buzzurlにブックマーク この記事をLivedoorクリップにクリップ! Yahoo!ブックマークに追加 このページを Google Bookmarks に追加 RSS