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3. 通貨スワップと通貨オプションの関係

入力者 山下章太 更新日 20120324

通貨スワップと通貨オプション

コール・オプションの買いとプット・オプションの売りをクロスで行い、通貨スワップと同じ決済取引を行う場合がよくあります。

一般的には、オプション取引は1回の権利行使で終了します。通貨スワップと同様の効果を作り出すために、為替予約と同様に複数回の契約を同時に締結します。
たとえば、5年間毎月決済をするためには、60個のオプション契約を同時に締結することになります。

ただし、先物と違う点は、権利売買のため、一方にしか損益が出ません。この点を通貨スワップと同じにするためには、 一定の為替レート以上でプラスとなるオプションと一定の為替レート以下でマイナスとなるオプションを組み合わせする必要があります。

よって、結果的には、60回×2=120個の通貨オプションを契約することになるのです。

オプションによって、60回決済を行う通貨オプションとするためには、下記のようなオプション取引の組み合わせを60ペア締結します。



コール・オプション

取引約定日 2012年3月31日
権利行使者 A商事
米ドルの買い手 A商事
米ドルの売り手 B銀行
元本 100,000米ドル
行使価格 73円/米ドル
権利行使日 2012年4月30日

プット・オプション

取引約定日 2012年3月31日
権利行使者 B銀行
米ドルの買い手 A商事
米ドルの売り手 B銀行
元本 100,000米ドル
行使価格 73円/米ドル
権利行使日 2012年4月30日


為替デリバティブでは、このような大量の通貨オプションを締結して、「オプション契約」として通貨スワップにしているケースがたくさんあります。

これを通貨スワップとして締結すると、下記のようになります。

通貨スワップ

取引約定日 2012年3月31日
当事者1 A商事
当事者2 B銀行
当事者1の支払額 7,300,000円(73円/米ドル)
当事者2の支払額 100,000米ドル
交換サイクル 毎月末
期日 2017年3月31日


通貨スワップと通貨オプションの評価における決済額

通貨スワップも通貨オプションも、「2. 為替デリバティブの評価の基本的な考え方」 で記載したように、為替スポット・レートと金利差から作成した、為替フォワード・レート(為替予約レート)を基本とします。

ただ、実際には通貨オプションを評価する際には、ボラティリティ(変動率)を加味することが必要となります。
ボラティリティに関する考え方は、「ストック・オプション 2.6 ボラティリティ」 をご覧下さい。

通貨スワップは、為替フォワードレートによって決済額を作成して、その割引現在価値を評価額とします。

下記の契約の決済額を、フォワードレートから作成してみます。

通貨スワップの契約内容

取引約定日 2012年3月31日
当事者1 A商事
当事者2 B銀行
当事者1の支払額 7,300,000円(73円/米ドル)
当事者2の支払額 100,000米ドル
交換サイクル 毎月末
期日 2017年3月31日


上記の契約を、フォワードレート(緑色)を使用して決済額(灰色)を計算すると、下図のようになります。

フォワードレートと決済額の関係

通貨スワップの決済

通貨スワップの計算方法は、「8. 通貨スワップの評価」 をご覧下さい。



ここで、契約は分かりやすいように、プラスの決済額しか発生しないように作成していますが、実際にはマイナスの決済額も当然発生することになります。

これを120個の通貨オプションの決済として考えると、「A:米ドル買・日本円売のオプションの買い」と「B:日本円買・米ドル売のオプションの売り」 を合成することになります。

下記のような、A・Bの契約がそれぞれ60個あると思ってください。共通点は、行使価格(73円/米ドル)を上回る円安の場合、 「A:米ドル買・日本円売のオプションの買い」が行使されて、A商事が儲かります。

行使価格(73円/米ドル)を下回る円高の場合、 「B:日本円買・米ドル売のオプションの売り」が行使されて、B銀行が儲かります。

A:米ドル買・日本円売のオプションの買いの内容

取引約定日 2012年3月31日
権利行使者 A商事
米ドルの買い手 A商事
米ドルの売り手 B銀行
元本 100,000米ドル
行使価格 73円/米ドル
権利行使日 2012年4月30日から毎月
満期 2017年3月31日


B:日本円買・米ドル売のオプションの売りの内容

取引約定日 2012年3月31日
権利行使者 B銀行
米ドルの買い手 A商事
米ドルの売り手 B銀行
元本 100,000米ドル
行使価格 73円/米ドル
権利行使日 2012年4月30日から毎月
満期 2017年3月31日


「A:米ドル買・日本円売のオプションの買い」と「B:日本円買・米ドル売のオプションの売り」のそれぞれ60回の権利行使による決済額は、 下記のようになります。



A:米ドル買・日本円売のオプションの買いのフォワードレートと決済額の関係

コール・オプションの決済額

B:日本円買・米ドル売のオプションの売りのフォワードレートと決済額の関係

プット・オプションの決済額

「A:米ドル買・日本円売のオプションの買い」と「B:日本円買・米ドル売のオプションの売り」の決済額をそれぞれ合計して表示すると、 下記のようになります。

オプション・クロス取引のフォワードレートと決済額の関係(A+B)

オプションのクロス取引

この決済額は、通貨スワップの決済額と同じです。
通貨オプションは、単体として評価することももちろんできるのですが、合算すると通貨スワップとなります。

再三になりますが、「為替予約取引」、「通貨(為替)オプション取引」、「通貨スワップ(クーポンスワップ)取引」といった場合、 同じ内容の取引となっている場合が多いのです。




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