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5. 為替デリバティブとノックアウト条項(自動消滅条項)

入力者 山下章太 更新日 20120324

為替デリバティブかどうかを問わず、デリバティブ取引は、色んな条件を付けることによって、カスタマイズすることが可能です。

その一つが、ノックアウト条項(自動消滅条項)といわれるものです。

似たような条件として、コール条項(プット条項:契約消滅権)というものがありますが、こちらは契約を終了させる権利があるだけで、自動的に消滅する訳ではありません。

ノックアウト条項が付されているデリバティブは、ある一定の条件に該当する場合、契約が自動的に終了します。
こちらは、選択権ではないため、契約を継続することは選択できません。

通貨スワップを例にすると契約内容は、下記のようになります。

ノックアウト型通貨スワップの契約内容

取引約定日 2012年3月31日
当事者1 A商事
当事者2 B銀行
当事者1の支払額 7,300,000円(73円/米ドル)
当事者2の支払額 100,000米ドル
交換サイクル 毎月末
期日 2017年3月31日
ノックアウト条項
自動消滅条項
100円/米ドル以上の円安となった場合、当契約は自動的に終了する


今までの解説と比較すると、ノックアウト条項(自動消滅条項)として、「100円/米ドル以上の円安となった場合、当契約は自動的に終了する」という条件が入っています。

ノックアウト型のデリバティブは、通常、モンテカルロ・シミュレーションという方法で計算するのですが、 シミュレーションで一定の条件に達した場合、それ以降の契約が終了するというように計算します。
モンテカルロシミュレーションの概要は、こちらをご覧下さい。「2.4 モンテカルロ・シミュレーションでの計算の概要

シミュレーションによって、為替レートの推移を作成したものが、下図になります。

為替レートのシミュレーションと行使価格、ノックアウトレート

為替レートのシミュレーション

この契約では、為替レートが100円/米ドル以上の円安となった場合、ノックアウト(自動的に消滅)しますので、 薄緑色になった部分(ノックアウト部分)が自動的に消滅します。

為替レートのシミュレーションとノックアウの関係

為替レートとノックアウト

ノックアウト条項は、評価する時点によって、契約当事者にとってプラスにはたらく場合も、マイナスにはたらく場合もあります。

一般的に、金融機関と事業会社が契約をする際には、金融機関がある一定以上の支払いが発生しないように設定するために、 契約の中に入れるケースが多いと思います。

ただし、年数の長い為替デリバティブの場合、契約時からかなり円高になってしまった場合においては、 ノックアウトによって権利消滅してくれた方が支払額が少なくなる場合もあり、このような場合は、ノックアウト条項(自動消滅条項)がプラスに作用します。

先ほど説明したレバレッジ(レシオ)型の為替デリバティブは、確実にマイナス額が増えるのですが (もちろん、プラスに増えるように設計することも可能ですが、金融機関サイドはわざわざ設計しません)、 ノックアウト条項に関しては、一概にどちらにとって有利な条件であるかということが分かりません。

実際に評価してみないと、ノックアウト条項によって、「損しているか?」、「得しているか?」というのが分からないので、 専門家で無い限り、判断が付きません。

参考までに、モンテカルロ・シミュレーションによって評価した際の、各施行(シミュレーション)の評価額の分布は下記のようになります。
まず、ノックアウト条項(自動消滅条項)が存在しない場合の評価額の分布は、以下のようになります。
※数値は例示のため、本件の評価額とは異なります。

モンテカルロ・シミュレーションによる評価額の分布

モンテカルロシミュレーション

評価額を見ると、比較的満遍なくシミュレーションによる各施行が分布していることが分かります。
これに対して、ノックアウトが存在する場合、モンテカルロ・シミュレーションによる各施行(シミュレーション)の評価額の分布は下記のようになります。

モンテカルロ・シミュレーションによるノックアウト型為替デリバティブの評価額の分布

モンテカルロシミュレーションとノックアウト

ノックアウト条項(自動消滅条項)が存在する為替デリバティブと、ノックアウト条項(自動消滅条項)が存在しない為替デリバティブを比較すると、 ある一定水準以上の円安(例えば、100円/米ドル以上)になった場合、為替デリバティブが消滅しますので、評価額のプラスの分布が少なくなります。
利益が大きく発生する場合が自動的に消滅してしまうためです。

この2つを比べると、ノックアウト条項(自動消滅条項)が無い場合のデリバティブ評価額は+9.9百万円でしたが、 ノックアウト条項(自動消滅条項)が存在する場合の為替デリバティブの評価額は+5.2百万円と減少しています。
※数値は例示のため、本件の評価額とは異なります。

このような場合、ノックアウト条項(自動消滅条項)は、評価額を引き下げるために為替デリバティブに付加されているといえます。




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