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信託受益権と不動産

項目

2.3. 信託受益権の分割(優先劣後構造)

入力者 山下章太 更新日 20121017


受益権の分割(優先劣後構造)

信託は、不動産などを信託銀行/信託会社に預かってもらう仕組ということは説明してきました。

不動産を購入しようとしている会社があって、銀行に融資を依頼したとしても、銀行は全額を融資することは難しいので、 銀行は、融資可能なLTV(Loan To Value)までの水準で、対応しなくてはなりません。

たとえば、溜池建設の保有物件の価格が100億円だったとします。
虎ノ門銀行のノンリコースローンのLTVが50%だったとすると、虎ノ門銀行が50億円まで融資できることになります。

発行される信託受益権が1種類だけで、溜池建設が帳簿価額100億円で所有している信託受益権を、 虎ノ門銀行が融資可能な50億円で譲渡してしまうと、下図のように、溜池建設に50億円の損失が発生してしまいます。

【信託受益権の譲渡】

信託受益権の譲渡

溜池建設としては、単純に資金調達をしようとしているだけなのに、SPCへの融資金額のみで譲渡してしまうと、 巨額の損失が発生することになってしまい、とても他の債権者の同意を取れそうにありません。

また、不動産の時価が、簿価と同じ100億円だったとすると、時価の50%以下の売買となってしまうため、 税務上、売却損である50億円はSPCへの寄付に該当するリスクも発生します。
税務上は、寄付金は損金参入される金額が制限されますので、損失だけ計上されて、 税務上のメリットは一切取れないという、悲惨な状況にもなりかねません。

このような状況を回避するためにはいくつかの方法がありますが、その一つが優先劣後構造です。
信託受益権は、受託者が委託者の依頼によって発行するものですが、信託受益権は、優先順位を付けて発行するということができます。

たとえば、下図のように、虎ノ門信託銀行が溜池建設から100億円のオフィスビルを受託する際に、 50億円の優先受益権と50億円の劣後受益権を発行します。
当然ながら、オフィスビル(信託財産)から発生するキャッシュ・フローは優先的に優先受益権者に分配されます。

【2種類の信託受益権の発行】

2種類の信託受益権の発行

虎ノ門銀行が融資可能な金額は50億円だけですので、溜池建設は2種類の受益権のうち、優先受益権のみをSPCに50億円で譲渡します。

【優先受益権の譲渡】

優先受益権の譲渡

この場合の、受益権の優先劣後の関係が、優先受益権者への金銭分配が完了した後でなければ、 劣後受益権者が金銭分配を受けられないことになっているとします。

下図のようにテナントからの賃料支払を虎ノ門信託銀行(受託者)が受領した場合、 分配額の上限(=貸主への元利金支払額)まで、先に優先受益権者(SPC)に分配します。
すなわち、虎ノ門銀行としては、LTV=50%で融資を行うことが可能となります。

【優先受益権の譲渡後】

優先受益権の譲渡後

このように、優先劣後構造を作った信託を利用すれば、不動産全体を対象にしなくても、構いません。 SPCを使わなくても、優先劣後構造を信託の段階で作り出すことができます。




ご参考情報

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【書籍情報】
書籍名:金融マンのための不動産ファイナンス講座
著者:山下章太
出版社:中央経済社
発行日:2011年3月25日
税込価格:3,150円
A5判/300頁
ISBN978-4-502-68490-6

内容(「BOOK」データベースより)
不動産をファイナンスとして利用するための基礎知識や、担保価値を把握するための手法、不動産を利用したファイナンスに関するさまざまな特徴を、難解な部分を極力排除したうえで、事例を交えながら解説。

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金融マンのための不動産ファイナンス講座

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