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項目

2.4. 信託受益権の分割(元本受益権と収益受益権)

入力者 山下章太 更新日 20121017


受益権の分割(元本受益権と収益受益権)

信託受益権の分割として、優先受益権と劣後受益権に分割する方法を先ほど説明しました。

同様に、受益権を分割する方法として、元本受益権と収益受益権に分割する方法があります。

この場合、元本受益権とは不動産の所有権を指します。収益受益権とは、収益(たとえば賃料など)を受け取る権利を指します。

これは、相続などに利用が可能な仕組みです。

父親が発行される信託受益権が1種類だけの場合、相続が発生すると不動産評価額(税法評価額)に対して相続税が掛かります。

例えば、10億円の不動産の相続人が1人だけの場合で控除額がゼロとした場合、50%の相続税(控除額:4,700万円)が掛かりますので、
10億円×50%−4,700万円=4億5300万円の相続税が掛かります。

50%近い相続税が掛かってしまいますので、富裕層にとっては大問題だと思います。

これを回避する方法の一つとして、受益権の質的分割(元本受益権と収益受益権)というテクニックがあります。

相続税の税法上の評価方法は、財産評価基本通達に記載されていますが、受益権については以下のように規定されています。

財産評価基本通達202:(信託受益権の評価)

信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)

1. 元本と収益との受益者が同一人である場合においては、この通達に定めるところにより評価した 課税時期における信託財産の価額によって評価する。

2. 元本と収益との受益者が元本及び収益の一部を受ける場合においては、 この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額にその受益割合を乗じて計算した価額によって評価する。

3. 元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。
イ:元本を受益する場合は、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額から、 ロにより評価した収益受益者に帰属する信託の利益を受ける権利の価額を控除した価額
ロ:収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに 課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

受益権を分割した場合はどうなるかというと、上記の財産評価基本通達202-3を使用して計算を行います。
計算方法は、下記のようになりますが、全体の価値(税法評価額)から収益受益権の価値(202-3ロ)を控除したものが、 元本受益権の価値(イ)となります。

信託受益権の譲渡

事例による解説

例えば、10億円の賃貸用不動産の年間賃料が1億円、信託契約における賃料受取が10年の場合を考えてみます。

税法上の収益受益権の価値は、基準年利率という概念を使用しますが、2012年9月時点で、期間が7年以上の場合は1%に設定されています。

参考:国税庁:平成24年度基準年利率

このケースでは、年間賃料である1億円を10年間、1%の割引率で割引現在価値を算定します。
一般的に利用されるDCF法と同じ計算です。

収益受益権の価値を算定すると、947百万円(9億4,700万円)になります。

収益受益権の価値

元本受益権の価値は、税法評価額である10億円から947百万円(9億4,700万円)を控除した金額ですので、53百万円(5,300万円)になります。

元本受益権の価値=10億円−9億4,700万円=5,300万円

仮に、現物の不動産や質的に分割されていない信託受益権を息子に相続させようとした場合、4億5300万円の相続税が掛かりますが、 受益権を分割した場合、元本受益権の価値は5,300万円になりますので、相当引き下げることができます。
この事例では、もともとの不動産評価額の5%くらいになっています。

極端な例になりますが、理論上は、賃料受領の終了(この場合10年後)において、 1円で収益受益権を買い戻すことにより、息子は不動産に対する全ての権利を保有することになるため、 本来であれば4億5300万円の相続税の支払いをしないといけないのが、 5,300万円で元本受益権を購入すれば相続税は掛からないということになります。



このように、信託受益権の分割を利用すれば、相続対策も可能となります。
詳しくは、お近くの税理士事務所にお問い合わせ下さい。




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発行日:2011年3月25日
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