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会計税務情報(2013年9月号)繰延税金資産の回収可能性

入力者 今石譲 更新日 20130910


PDFファイルは、下記からダウンロード下さい。
会計税務情報:2013年9月号(PDFファイル)

繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産とその回収可能性

繰延税金資産は、将来において税金支払額が軽減されるというキャッシュ・フローへのプラス効果(将来減算一時差異)を、まだ効果が生じていない 現在時点において企業の資産として認識したものである。

将来の税金支払額が軽減される要因としては減損損失の計上(会計上は計上時に費用となるが税務上は別表4で加算しなければならない)、 退職給付費用の計上(会計上は当期分の発生額を費用とするが税務上は支払時に損金として認められる)などが挙げられる。

ただし、将来の税金支払額の軽減されるという前提はあくまでも支払うべき税金が将来において発生していることであり、そもそも赤字となる見込みで将来 の税金が発生する可能性が低い場合においてはキャッシュ・フローのプラス効果がなく繰延税金資産を計上することはできない。

このような将来キャッシュ・フローへのプラス効果が期待されると合理的に見込まれるかどうかが繰延税金資産の回収可能性の問題であり、 税効果会計実務上の最大の難所である。繰延税金資産の回収可能性を判断するにあたっては2つの視点がある。
「スケジューリング」と「課税所得の発生見込」である。

将来減算一時差異がいつ解消するかのスケジュールの見込みが立っており、 そのタイミングで課税所得が発生する見込みがあってはじめて、税金支払額の軽減を通じて 将来キャッシュ・フローへのプラス効果を有すると主張できるようになり、これが繰延税金資産を計上できる根拠となる。

将来の解消スケジューリング

スケジューリングの見通しがたてられないものについては将来の税金軽減効果を合理的に見込むことができず、 繰延税金資産を計上することはできない。

では将来減算一時差異の解消スケジュールはどのように見込めばよいのであろうか。

賞与引当金や未払事業税などの将来減算一時差異は通常翌期に減算される。 減価償却超過額は減価償却計算により規則的に減算される。このような場合には比較的スケジューリングを見通しやすい。

その一方で退職給付引当金などはストレートに将来の解消スケジューリングを見積もることが難しいことも多い。そのため、過去 の実績推移などを踏まえながら減算スケジュールを行うことが実務的な対応であるといえる。

減損処理を行った資産を外部へ売却した場合、過去の否認額につき減算調整を行い損金算入することとなるため、 減損対象資産の売却予定がある場合、その予定に従ってスケジューリングを行う。

この場合、必ずしも具体的な売却先が決まっていることが要件となるわけではない。売却することに事業上の制約がなく、 経済合理性が認められるものであって、会社としての売却方針が何らかの形で明確になっていることが要件となる。

解消スケジューリングを踏まえた回収可能性の判断

将来減算一時差異の解消スケジューリングを行ったら、 次は将来見込まれる減算額を賄いきれるだけの課税所得が発生するかどうかを検討する。

減算額を賄う回収原資としては、

  • (1)将来加算一時差異の解消額
  • (2)収益力に基づく課税所得
  • (3)タックスプランニングによる課税所得
の3つが考えられる。

ただし、(1)の将来加算一時差異の解消額については日本の税制を考慮すると将来加算一時差異が発生するケースが少ないため、 回収可能性の判断にあたって大きな影響を及ぼすことは少ない。

また(3)のタックスプランニングについても含み益を有する固定資産や有価証券などの資産を保有することが要件となっており、 いつでも行えるわけではないため、(2)の収益力に基づく課税所得が最も重要であるといえる。

この収益力に基づく課税所得をどの程度見込むことができるのかが、繰延税金資産の回収可能性の判断に際しての最重要テーマであるといえる。

ここで登場するのが日本公認会計士協会監査委員会報告66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」 (以下「66号」という)である。

66号では、不確実な将来計画に依存して繰延税金資産の回収可能性を判断するにあたってまずは過去の業績、 そして足下の収益力をベースに検討することで一定の客観性を確保することができるという発想に基づき、 過去の業績推移によって会社を5つのタイプに区分し、それぞれの区分ごとにどの程度将来予測を資産性の判断に織り込むことが可能 かどうかについてのガイドラインを示している。

五つの区分と取扱は以下の通りである。

  • (1)期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等(1号会社)
    1号会社は、期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等で、 その経営環境に著しい変化がない場合に該当するとされている。
    1号会社の場合は本来は回収不能とみなければならないスケジューリング不能な一時差異まで含めて、 繰延税金資産全額について回収可能と判断することができる。

  • (2)業績は安定しているが、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等(2号会社)
     当期および過去連続してある程度の経常的な利益を計上している場合には業績が安定しているとみることができる。
     2号会社についてはスケジューリング結果に基づいて計上された繰延税金資産は回収可能なものと考えることができる。
     ただし、1号会社と異なり単年度の課税所得で将来減算一時差異の全額を賄うほどではないため、  スケジューリング不能な一時差異については回収可能と判断しない。

  • (3)業績が不安定であり、期末における将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社等(3号会社)
    過去の経常的な損益が大きく増減している場合を3号会社という。
    この場合、将来にわたって安定的な課税所得を見込むことは難しいため将来の合理的な見積可能期間内の 課税所得の見積額を限度として、当該期間内のスケジューリング結果に基づいて繰延税金資産の回収可能性を判断する。

  • (4)重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等(4号会社)
    期末に重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社などは、通常、 将来の課税所得を合理的に見込むことは困難であるため、翌期において確実に見込まれる課税所得の範囲内 でのみ繰延税金資産の計上を行うことができる。

  • (5)過去連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社等
    過去3年以上連続して重要な欠損金を計上している会社や債務超過の状況にある会社などは、 通常、繰延税金資産の計上根拠となるような将来の見通しを合理的に主張することは 極めて困難であると考えられるため、繰延税金資産を計上することは認められない。

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