YENLAND TIME :  

 Top >  Library  |  印刷する印刷ページ       はてなブックマークに追加 このページを Google Bookmarks に追加 RSS

大区分

会計・税務

中区分

企業会計

小区分

会計情報

項目

会計税務情報(2013年10月号)株式譲渡と事業譲渡の税務上の相違点

入力者 今石譲 更新日 20131004


PDFファイルは、下記からダウンロード下さい。
会計税務情報:2013年10月号(PDFファイル)

株式譲渡と事業譲渡の税務上の相違点

株式譲渡と事業譲渡

企業買収における代表的な取引手法に株式譲渡と事業譲渡がある。株式譲渡は対象会社の株式を取得することにより、対象会社の支配を取得する取引手法である。 株式が移動するのみであるため、資産負債等が会社間を移動することはない。

一方、事業譲渡とは会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡する行為のことである。 ここで事業とは、一定の事業目的のために組織され、有機的一体として機能する財産・債務のほか、事業組織、ノウハウ、取引先との関係などを含む包括的な概念である。

今回は主に税務上の観点からの株式譲渡と事業譲渡の両者の相違点についてみていく。



繰越欠損金

繰越欠損金とはある事業年度の課税所得がマイナスとなった時に翌期以降に繰り越される欠損金のことである。 企業買収における買主がM&A後に対象会社の繰越欠損金を使用できるかどうかは、買主の将来の課税所得の圧縮につながる重要なポイントである。

繰越欠損金は事業ではなく、企業に帰属しているため株式譲渡型の場合には買主側に移るが事業譲渡型の場合には売主側に残ったままとなる。 そのため、株式譲渡型の方が有利となるが、その場合であっても買収される企業の発行済株式の50%を超える株式を取得した場合、 買収される企業が事業を営んでいなかった場合、買収される企業が事業を廃止する場合などは欠損金の繰越が制限されることとなる。

また、連結納税制度を採用している場合に、買収される会社の繰越欠損金を連結納税に持ち込むことはできないことが多い。



資産調整勘定

資産調整勘定とは事業の譲り受けの際に交付した対価と移転を受けた資産負債の時価純資産額の差額をいう。

資産調整勘定は5年にわたり損金に算入することができる。 事業譲渡においては買主が買収対価として払った額と買収の対象となった資産及び負債の純資産価額の差額が資産調整勘定として認識される。

この資産調整勘定は5年にわたり損金に算入されるため買主の税務メリットとなるが、認定が難しいことに留意が必要である。



減価償却

株式譲渡の場合においては従前の減価償却が継続される一方、事業譲渡においては資産の時価を取得価額として計上することとなるため、 簿価より高い額で購入した場合には買主は減価償却メリットを受けることとなる。

印紙税

株式譲渡契約書には印紙税はかからない一方、事業譲渡の場合には契約金額に応じて最大60万円の印紙税がかかる。 ただし、株式譲渡の場合であっても株券自体は課税文書であるため、株券を発行する場合には最大2万円の印紙を貼付する必要がある。



消費税

株式譲渡には消費税は課税されない一方、事業譲渡の場合においては、譲渡対象資産に課税仕入れの対象となるものが含まれている場合には 課税仕入れに対応する消費税相当額を対価に上乗せして支払うことになる。



不動産取得税及び登録免許税

株式譲渡の場合には不動産は対象会社から動かないため不動産取得税及び登録免許税はかからない。 一方、事業譲渡の場合には不動産の会社間の移動を伴うために不動産取得税及び登録免許税が課税されることとなる。

不動産取得税は、固定資産課税台帳価格×税率(2015年3月31日までは土地3%、住宅以外の建物4%)で計算され、 登録免許税は固定資産台帳価格×税率(2%、ただし土地は1.5%)で計算される。



まとめ

以上のように、株式譲渡や事業譲渡においては法人税、印紙税、消費税、不動産取得税、登録免許税といった税目が絡むこととなる。 取引手法の選択にあたってはそれらの税目を考慮する必要がある。



PDFファイルは、下記からダウンロード下さい。
会計税務情報:2013年10月号(PDFファイル)





   はてなブックマークに追加 このページを Google Bookmarks に追加 RSS