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非居住者の不動産投資

入力者 山下章太 更新日 20190723


非居住者の不動産投資

日本の企業が海外に進出するケースや外国の企業が日本に進出するケースなど、クロスボーダーの取引が増加しています。
今回はアジア圏における日本の不動産という視点から解説してみたいと思います。



1.近年のマーケット環境

従来であれば、日本企業が工場などの生産拠点をアジア諸国に設立し、コスト削減を行うケースが多くありましたが、 中国をはじめとしたアジア諸国の人件費・物価上昇から、 徐々に生産拠点としての認識が日本企業の中でも薄れてきています。

また、不動産に関して言えば、日本の企業や個人が外国の不動産を所有することについて、 法的な制限がある場合があり、現地法人を設立して不動産を取得するケースを除けば、 アジア新興国において取得するケースは多いとは言えません。

図�1は2005年9月から2015年9月までの10年間の日本(日経平均指数)、香港(香港ハンセン指数)、 中国(上海総合指数)、インドネシア(ジャカルタ総合指数)を比較したものですが、 先進国であった日本と香港以外は2倍を超える株価指数の上昇が見られます。
不動産価格に関しても同様の価格上昇が発生しており、 アジア新興国の不動産が決して安いとはいえないような経済環境になってきています。

【図�1:アジア圏の株価変動】
アジア圏の株価変動
※2005年9月を100とした指数で侮ヲ

更に、アジア圏で比較的早く経済発展したエリア(シンガポールや香港)は、面積が極端に小さく、 不動産価格が高騰するという傾向が過去から発生しています。
日本の国土はそれほど大きいとは言えませんが、不動産価格の上昇もシンガポールや香港に比べると大きくありません。

また、アジア新興国は、政治的な安定性がない国も多く、政権交代などにより経済活動が 大きく制限されるというリスク(カントリーリスク)が存在します。

このような点から総合的に考えると、日本の不動産マーケットは、決して安くはないものの ある程度の利回りを確保することができ、カントリーリスクが小さいという評価が得られるものと思われます。

【図�2:アジア諸国における比較】
日本 シンガポール アジア新興国
カントリーリスク 低い 低い 高い
投資利回り 低い 極めて低い 高い
価格変動 小さい 小さい 大きい



2.非居住者の不動産投資

日本では、外国企業や外国人でも不動産の所有権を取得できますが、全く制限がない訳ではありません。

まず、日本に居住していない人(非居住者)に対して日本の銀行は融資をすることを避ける傾向にあるため、 不動産購入時に借入を利用することができず、現金のみで決済が必要になります。
投資利回りを考えると借入を行った方がいいのですが、利回りを向上させるためにレバレッジを掛けることができません。

また、非居住者は日本国内で生じた所得がある場合にだけ課税されますが、 不動産投資を行って賃料収入や売却収入がある場合、当然に日本での納税義務が発生します。
ただし、非居住者が日本で確実に納税するかどうかは不明なため、賃料収入や売却収入に対して源泉徴収が行われ、 課税漏れを防いでいる訳ですが、税率などを考慮すると決して税金が低い訳ではありません。

このように、非居住者にとっては投資対象として検討できる日本の不動産ですが、ある程度日本の取引慣行、 法制度を理解した上で投資をする必要があります。




上記コラムは、週刊ビル経営(2015年10月12日号)に掲載されたものです。
掲載当時の法律、会計基準、税制を基に記載をしておりますので、現時点の内容と異なる場合があります。
詳細は、下記をご覧下さい。

月一連載:プロオーナーになるための財務基礎知識

週刊ビル経営:2015年10月12日号

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