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グローバル投資パフォーマンス基準(GIPS)

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各論

項目

2. コンポジットの構築

入力者 山下章太 更新日 20071214

GIPSは大きく、資産運用会社が必ず準拠しなければならない「必須基準」と、 準拠することが推奨されている「勧奨基準」に分かれています。

GIPS

3.Aコンポジットの構築―必須基準

  • 3.A.1 運用実績のあるフィー(運用報酬)を課す投資一任ポートフォリオはすべて少なくとも1つのコンポジットに組み入れなければならない
    フィー(運用報酬)を課さない投資一任ポートフォリオは、 (適切な開示とともに)コンポジットに組み入れることができるが、 非一任ポートフォリオは会社のコンポジットに組み入れることはできない。

  • 3.A.2 コンポジットは、類似した投資目的や投資戦略に従って定義しなければならない。
    完全なコンポジットの定義は、請求に応じて提供可能としなければならない。

  • 3.A.3 新規ポートフォリオは、顧客から特段の指示がない限り、 ポートフォリオの運用開始後適時に一貫性のある方法でコンポジットに組み入れなければならない。

  • 3.A.4 運用契約が終了したポートフォリオは、そのポートフォリオが運用されていた 最後のパフォーマンス測定期間(期中で終了したときは当該期間の直前の期間)まで、 適切なコンポジットの過去のリターン記録に含めなければならない。

  • 3.A.5 ポートフォリオのコンポジット間の移管は、顧客ガイドラインの変更の記録、 またはコンポジットの再定義により移管が適切であると認められない限り、行うことはできない。
    ポートフォリオの過去のリターン記録は、移管前に属していたコンポジットに残さなければならない。

  • 3.A.6 転換社債およびその他の複合証券は、全計算期間を通じて、かつコンポジット内で一貫した取扱いをしなければならない。

  • 3.A.7 現金を含まないカーブアウトは、投資一任ポートフォリオとしての使用およびコンポジットへの組入れを行うことはできない。 多資産ポートフォリオから単一資産をカーブアウトしそのリターンを単一資産コンポジットに含めて提示する場合には、 カーブアウト・リターンには、適時に一貫性のある方法で現金が配分されていなければならない。
    2010年1月1日以降の運用実績については、カーブアウトが実際にキャッシュバランスを有して個別管理されていない限り、 カーブアウト・リターンを単一資産コンポジットのリターンに含めることはできない。

  • 3.A.8 コンポジットには、定義された会社が運用する資産のみを組み入れなければならない。
    シミュレーション・ポートフォリオまたはモデル・ポートフォリオのパフォーマンスを 運用実績のあるポートフォリオのパフォーマンスとリンクすることはできない。

  • 3.A.9 会社があるコンポジットに組み入れるポートフォリオの最低資産額を定めているときは、 最低資産額を下回るポートフォリオを当該コンポジットに組み入れることはできない。 コンポジットに関する最低資産額の変更は、遡及適用することができない。

3.Bコンポジットの構築―勧奨基準

  • 3.B.1 カーブアウト・リターンは、当該カーブアウトが実際にキャッシュバランスを有して個別管理されていない限り、 単一資産コンポジットのリターンに含めるべきではない。

  • 3.B.2 重大な外部キャッシュフローの影響を除くため、 (重大な外部キャッシュフローが生じたポートフォリオをコンポジットから除外するという方法ではなく) 一時的新規口座を使用することが勧奨される。

  • 3.B.3 会社は、コンポジットの最低資産額よりも小額の資産を有する見込顧客に対して、 当該コンポジットを営業活動に使用すべきではない。

解説

はじめてGIPSに関わることになった場合、最も理解に苦しむ概念が「コンポジット」です。 GIPSでは、「ポートフォリオ」や「コンポジット」という独自表現される概念が登場しています。

また、「ポートフォリオ」とは、"ポートフォリオ理論"など一般的に利用される概念ではなく、 「顧客の預かり口座」を意味しています。
例えば、「A年金基金連合会」から投資一任契約で資産運用をしている場合は、 「A年金基金連合会の口座=ポートフォリオ」ということになります。

下図のような概念が「コンポジット」です。
会社、投資一任契約との関係は、下図のようになりますが、「コンポジット≒投資の運用スタイル」ということになります。

コンポジットのイメージ

コンポジットの名称については、特にルールはありませんが、 例を挙げれば以下のような名称が用いられています。

  • 国内株式特化型
  • 国内株式小型株運用
  • 外国株式特化型
  • ヨーロッパ株式運用
  • 全世界株式運用
  • 国内債券特化型
  • 外国債券特化型
  • 2資産型(円債・外債)
  • 3資産型(円債・外債・円株)
  • 4資産型(円債・外債・円株・外株)
  • パッシブ型(国内株式)
  • 絶対値追求型(国内株式)

また、同一コンポジットには同一ベンチマークが通常設定されていますが、 こちらはご説明するまでもなく、以下のようなものが該当します。

  • FT/S&P Medium Small Cap
  • MSCI All Countries World Free Index
  • MSCI Emerging Market Free Index
  • MSCI Kokusai Index
  • MSCI The World Index
  • Russel3000wD
  • TOPIX(東証株価指数)配当込み

対応例

あくまで参考ですが、以下のようにコンポジットの構築作業を行っていけば、 比較的短期間で作業を完了することができると思われます。

Step 項目 概要
1 運用総資産の把握 顧客との契約を精査し、運用報酬を課している契約を把握
⇒ 『会社の運用総資産』の確定
2 投資一任契約の把握 顧客との契約を精査し、投資一任契約と非一任契約の切り分けを行う
⇒ 『コンポジット』への組み込み対象を確定
3 運用ガイドラインの精査 運用ガイドラインが同一の契約を集約
⇒ 『コンポジット』の割振りを行う
4 コンポジットの名称決定 運用ガイドラインに最も適した名称を決定
⇒ コンポジットの「運用内容」、「ベンチマーク」、「構築日」、「開始日」、「終了日」の一覧を作成
5 コンポジットの組入れ・移管・除外の方針を決定 コンポジットへの「組入れ」、「移管」、「除外」のタイミングや方針について決定し、その方針を文書化
6 ポートフォリオへの割振り 決定した方針に従い、コンポジットへの「組入れ」、「移管」、「除外」を契約単位(口座=ポートフォリオ)で実施し、 コンポジット・ヒストリーを作成します。

検証内容

「コンポジットの構築」については、以下のような検証を行っていくことになります。

  • 会社がGIPS基準に準拠した妥当なガイドラインに従ってコンポジットを定義し、維持していること。

  • 会社の運用実績のあるフィー(運用報酬)を課す投資一任ポートフォリオがすべて、 いずれかのコンポジットに含まれていること。

  • 会社の定める投資一任の定義が、全期間を通じて一貫して適用されていること。

  • 恒常的に、すべての口座が該当するコンポジットに組入れられており、 またあるコンポジットに属すべき講座が当該コンポジットから除外されていないこと。

  • コンポジットの構築および維持に関する会社のガイドラインが、一貫して適用されていること。

  • 会社のコンポジット一覧表がすべてを網羅していること。

  • 会社の全ポートフォリオの一覧から、投資一任又は非一任の分類が適正に行われていること。


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