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項目 なぜ流動化を行うか?
入力者 山下章太 更新日 20180912


なぜ流動化を行うか?

前回は、なぜオフバランス取引を利用するかについて説明しました。
オフバランス取引は流動化を含む概念ですが、実際にはほぼ同じ意味で利用されています。
流動化は、何かの対象物を切出して、ファイナンスに利用することをいいます。
今回は流動化取引について説明します。



1.流動化はどのような理由で行われるか

まず、流動化・証券化がどのような場合に行われるかを、整理してみます。
図表1は、A不動産の部門ごとの保有資産および損益を示しています。
A不動産は、不動産賃貸部門は好調のようで収益がプラスですが、 他の部門(仲介部門、管理部門)の収益はマイナスで法人全体としては収益採算が悪化しています。

仮に不動産賃貸部門だけで会社が存在していたとすると、A不動産よりも低い金利で資金調達ができているはずです。

実際に可能かどうかは分かりませんが、A不動産のように、 不動産賃貸部門のみを独立させて資金調達した方が良い場合には、保有資産を流動化し、 資金調達をすることになります。

【図表1:A不動産の部門ごと損益】
A不動産の部門ごと損益

流動化が行われる理由は、さまざまですが、一般的には、次のような理由が考えられます。



2.リスクヘッジの手段

資産を持つということはリスクを負うことです。
投資対象の価値が下落するリスクや、プロジェクトが失敗するリスクなど、 さまざまなリスクを抱えることになりますが、流動化した場合には、 これらのリスクを外部に移転させることが可能となります。
ノンリコースローンなどは、このようなリスクヘッジをメインとして利用されています。

また、近年は、IFRSへの移行や会計基準の改正によって、 さまざまな潜在的リスクを開示することを会計上要請される場合が多くなってきました。
不動産を保有することは、会計基準の観点から言ってもリスクを抱える要因を増やすことになります。



3.低コストでの資金調達

証券化・流動化は対象資産の信用力を用いた資金調達手法となるため、 対象資産の所有者の信用力よりも対象資産の信用力の方が高い場合(前述のA不動産のようなケース)は、 自ら資金調達をするよりも、低コストでの資金調達が可能となります。

優良企業のみがテナントのオフィスビル(不動産)の信用力と、毎年赤字の企業(会社)の信用力を比べると、 オフィスビル(不動産)の信用力の方が高いことは間違いありません。

会社から倒産隔離することによって、低コストで資金調達できる可能性もあるのです。



4.オフバランス効果

流動化を行った場合、会計上は資産売却と同様の効果をもたらしますので、資産をB/Sから控除することができます。
オフバランス効果については前回説明しましたが、リース取引とほぼ同じような効果が得られ、 これによりROA等の財務指標の改善が期待できます。
オフバランス取引を行うと、収益性が劇的によくなり、優良企業であることをアピールすることもできます。




上記コラムは、週刊ビル経営(2014年05月12日号)に掲載されたものです。
掲載当時の法律、会計基準、税制を基に記載をしておりますので、現時点の内容と異なる場合があります。
詳細は、下記をご覧下さい。

月一連載:プロオーナーになるための財務基礎知識

週刊ビル経営:2014年05月12日号

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